もう一つ、ウォルマート・コネクトの売り上げを増加させている要因があります。
それはセルフチェックアウトレジの拡大です。
セルフレジの増加は人手不足対策であり、それまでのレジ係りをネットスーパーのピッカーに充てるための苦肉の策でもあります。
ネットで生鮮品を購入する機会が増えれば、売り場でのピッカーも必要になります。そればかりか、注文品をカーブサイド・ピックアップ(車中受け取り)でドライバーに渡す人員も割り当てなければなりません。ウォルマートがセルフレジを増やしている理由は、実は広告の売り上げを拡大させるためでもあるのです。
セルフレジではレジにあるタッチスクリーンを確認しながら、お客は商品バーコードをスキャンしていきます。ウォルマートのセルフレジでは一部で最近、スクリーン上部にコマーシャル帯が出てくるようになりました。
仮に、週に1億人がセルフレジのスクリーンを見ながら操作すれば、スクリーン上部のあまり目に入らない場所の広告表示でも、数のインパクトはすさまじいものになります。
ブランドロゴを小さな枠に配置するだけでも、1週間で1億の人の目に映るなら、テレビコマーシャル以上の認知度向上にもなるのです。セルフレジの場合は購買データなどが蓄積されるだけでなく、リアルタイムで他のデータも取れます。
例えば、Aというブランドの商品をある特定の顧客が購入したら、無意識にブランドを認識するようにAの広告をスクリーンに映すことも可能です。競合ブランドとなるBのロゴだけ映してもいいのです。ウォルマートはスクリーンに映す広告をコンバージョンレートなどの明確なデータとともにスポンサーを募ることが容易になるということです。
誰がいつ何を購入しているのか、逆にブランドスイッチング(他社商品への乗り換え)が起こっているのか、いないのか――というデータも取得できるのです。広告主にとっては垂涎(すいぜん)のデータが集まることで、ウォルマートはIT特化型広告代理店として、いくらでもクライアントを集めることができるのです。
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