ガソリン価格が高い! 税金の代わりに“財源”を確保する方法とは高根英幸 「クルマのミライ」(1/5 ページ)

» 2023年09月15日 08時00分 公開
[高根英幸ITmedia]

 ガソリン価格の高騰が止まらない。直近では若干値下がりを見せているが、これは補助金の拡充の影響だろう。円安、ロシアによるウクライナ侵攻、温暖化対策による化石燃料利用の抑制など要因はいろいろあるけれど、どうやらそればかりではなさそうだ。

 なぜなら三大オイルメジャーは、好調な業績を記録している。つまり、ロシアによるウクライナ侵攻でロシア産の原油が取引を制限されることにより、他の産油国は駆け引きを有利に運べる状況になっている。

 どんどん増産して薄利多売することもできるが、気候変動の主犯扱いされていることもあり、これから先も細く長く商売していくために減産しているのが現状だ。それでも1バレル120ドルを超えたような高値圏ではなく、70〜80ドルで推移しているのが最近の原油相場であるから、それを考えると現在の燃料価格には違和感を覚える。

(提供:ゲッティイメージズ)
ガソリン価格はレギュラーでも190円を超え、200円台を見据える地域もある。補助金が投入されていなければ、さらに上昇していたことを考えると、庶民の生活には大打撃を与えるものだ

 円安によって原材料費が3割上昇していたとしても、昨今のガソリン価格は高すぎる印象がある。つまり、原油市場以降の元売り会社からガソリンスタンドまでの販売経路が、しっかりと利益を確保している、ということだ。

 日本国内の元売り各社も業績は好調だ。補助金によって利益が保証されているのだから、当然のことだ。今や元売りは3社に統合され、ガソリンスタンドも減少した結果、競争原理が働かなくなってきている。

 こうなると寡占状態となって、安くしなくても安定した売り上げが望める。つまり、たとえガソリン税が撤廃されても、燃料価格はガソリン税のぶんだけきっちり値下げできるとは限らないのだ。補助金が投入された当初も、価格を引き下げる効果が疑問視されていたし、今もどこまで実効性があるか不透明なのが問題である。

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