西原氏によると、今回のツアーは同社として初めての試みであったため、実施したことでさまざまな課題が見えてきたという。
例えば、1回目のツアーではレストランの隣にある空き地をヘリポートとした。土地の所有者と交渉して借りた後は、周辺住民の家をまわり、ヘリポートとして使わせてほしいとお願いをした。理解を得るのは簡単でなかったと西原氏は振り返る。
また、国が定めたさまざまな基準をクリアする必要があることから、ヘリポートの設置は思ったほど簡単ではないことも分かった。例えば、かつて小学校だったが、現在は別の用途に使用されている施設があったとする。広い校庭があるため、ヘリポートとして活用しようと考えたが、周辺にある照明がネックとなり諦めるといったケースだ。
自社の利益のためだけにヘリポートを設置しようとしても、地元の理解が得られなければうまくいかない。プロジェクトを進めるにあたって「災害時に救援物資を運ぶ拠点としても活用できる」「地元の子どもたちもヘリに乗って楽しめる」といったアピールも必要になるという認識を西原氏は示した。
何度かヘリを飛ばしてきてある程度のノウハウを蓄積してきたが、今後はどのような展開を考えているのだろうか。
西原氏によると、宿泊プランを組み合わせたサービスを提供していく予定だという。また、25年開催の万博でインバウンド需要がさらに盛り上がることが予想されることから、開催地に近い淡路島や和歌山関連のツアーを充実させたいという考えを示した。
ぐるなびは地域の魅力を発掘・発信するためにさまざまな活動をしている。例えば、自社の社員を「地域活性化起業人」として各自治体に派遣している。この制度は総務省が推進しているもので、民間企業が自治体と協定を締結し、共同で観光振興などに取り組むというものだ。現在16カ所に18人を派遣している。また、若手シェフを発掘・応援するコンペティション「RED U-35」を開催しており、このプロジェクトで表彰されたシェフと一緒に各地方に魅力的な店をつくるという構想もある。
地方にある隠れた名店の魅力を富裕層にアピールする手段として考案したヘリを使ったサービス。今後、サービスを拡大していくなかでどれだけの支持が得られるか。
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