新時代セールスの教科書

人材を育て、営業成果を出すために必要な「PDS」とは実践セールス・イネーブルメント(2/3 ページ)

» 2023年09月27日 09時50分 公開
[山下貴宏ITmedia]
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Plan:達成すべき営業成果の設定

 達成すべき営業成果の設定は、例えば以下のような内容です。

営業目標:売上や利益目標などの数値目標。加えて、チーム別、製品・サービス別などの詳細

目標達成の柱:数値目標をどのように達成するのかをまとめた営業戦略のこと。直接販売 - 間接販売などの注力チャネル、重点的に提案する製品・サービス、顧客の業種業界や企業規模などの優先順位とその攻め方

注力すべき営業指標:上記方針に応じて、重点的に管理する営業指標

 これらの情報は、営業役員を中心に営業企画部や営業マネジャーの間で決められるケースが多いでしょう。実際には、営業数値目標だけが上層部から設定されて、営業戦略やモニタリングすべき指標は現場の営業チーム任せ、という企業も多く見かけます。

 「Plan」が具体的ではない場合には注意が必要です。私が支援する企業では、営業育成施策などの開発に着手する前に「Plan」の具体化から始めます。理由は、「Plan」を曖昧なまま進めると結果的にイネーブルメント施策の効果検証ができなくなり、施策の精度も落ちるためです。セールス・イネーブルメントは最終的に「Plan」を実現するための手段ということを忘れないようにしましょう。

Do:商談の前進

 商談の前進とは、日々の営業活動のことですが、この領域については昨今営業の分業化が進んでいます。リード獲得はマーケティングが担当し、リードを育成して案件化までをインサイドセールスが担当し、案件を受注まで持っていくのはフィールドセールスで、その後のサービスの定着とアップセル/クロスセルをカスタマーサクセスチームが担い、一連のサイクルを通じて顧客への価値提供(LTV:Life Time Value)を最大化するというモデル(いわゆるThe Modelが有名)です。

See:営業成果の振り返り

 最後の営業成果の振り返りについては、要は営業指標管理です。スプレッドシートやSFAで一元管理します。スプレッドシート管理は効率性の観点で限界があるためあまりおすすめしませんが、いずれにしても数値をもとに進捗管理するのが「See」のステップです。

 上段のPDSのサイクルを回すことで、イネーブルメントの目的である営業成果がデータで見えるようになります。

 ちなみに、ここまでのところで上段の「Plan」「Do」「See」がつながるのが当たり前のように書いていますが、むしろ、つながっていない企業が多い印象です。典型的には「営業戦略は営業マネジャー任せ」「営業が全てのプロセスを担当していて疲弊」「スプレッドシート管理のためマネジャーによって見る視点がバラバラで集計に多大な労力を要する」「SFAを導入したが日報管理になっていて本来の数値分析に至っていない」といった事象の組み合わせで「Plan」「Do」「See」が分断されているような状況です。このような場合は、まずは営業活動の骨格から整理して、上段でやることを絞って、営業成果が見える状態にしましょう。

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