お互いを知るきっかけを社内コミュニケーションメディアで提供した後に効果的なのは、偶発的な出会いの場の仕掛けである。
特に、部門や専門が異なる社員が偶然出会うことはイノベーションに結び付くとされ、偶発的な出会いの場の効用が説かれているのは、みなさんご承知の通りだ。
偶発的な出会いを生む具体的な施策の代表例は、オフィスレイアウトだ。
コピーやプリンターなどの共用機材を集中配備して、コピーをする際や出力を待つ際の偶発的出会いを演出する。いわゆる、マグネットポイントの設置である。
あるいは、オフィス内の主要通路のそばにコーヒーコーナーやリフレッシュスペースを配置して、ほっと一息する際の偶発的出会いを演出する。オフィスは日常的に使う場だからこそ、その中にいろいろと仕掛けをしていくと効果的だ。
フリーアドレスやABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)も、偶発的な出会いを生む。仕事のモードにあわせて、フロア内を移動する。その際、いろいろな従業員とのコミュニケーションの可能性が生まれるのだ。
社内イベントも偶発的な出会いを生む。キックオフの後の懇親会や、周年行事としての社内パーティーなど、社員同士が和やかに歓談できる場がそれに該当する。
久しぶり出会う同期や、いつもメールだけの間柄の社員同士が、懇親会の場で偶然出会い話がはずむ。その会話を通じてお互いがより深い関係になっていく。その場を仕掛けるのだ。偶発的出会いの場の提供目的は、より多くのコミュニケーションが生まれることなので、数多くそうした場を提供することが施策のポイントとなる。
オフィスやリアルイベントが偶発的な出会いの場であるのに対して、総務などの事務局側が意図した出会いの場を提供することも重要だ。事務局側が引き合わせたい社員同士をコミュニケーションの場に連れてくるのだ。
というのも、オフィス内での偶発的な出会いの場は、地域が同一の場合は成立する。本社内、あるいは、同じ事業所内では成立する。ただ、大阪支社のメンバーと東京本社のメンバーが、どちらかのオフィスで偶然出会う機会はそうそうない。そこで、事務局が仕掛ける、意図された交流の場が必要となってくるのだ。
例えば食事会。仲の良い者同士の食事代を補助するケースもあるが、ここで紹介したいのは、事務局側が食事会の参加者をピックアップして連れてくる施策だ。普段話す機会のない社員同士をあえて同じ場に連れてきて、お弁当を提供、場合によっては話すテーマも選定する。
ワークショップも同様だ。各テーブルのグルーピングを事務局が選定していく。この場で初めて会ってコミュニケーションをすることで、その後、仕事で困ったときの相談先になったり、プロジェクトチームを組むときのメンバーとして招かれたりするケースもあるだろう。
社内報の座談会も同様の効果がある。会話がはずむからといって、知り合いばかりを集めるのは意味がない。可能な限り、普段会話をすることのない社員同士を組み合わせることで、その後の展開に期待するのだ。
いずれにせよ、この意図された出会いの場では、偶発的な出会いを待っていては出会わないようなメンバー同士を事務局が意図して出会わせるのだ。なので、事務局側として、普段のコミュニケーションの実態を把握しておくことが肝要となる。
以上が、総務ができる三位一体のコミュニケーション活性施策となる。
社内メディアでコミュニケーションのきっかけをつくり、オフィスという場で、偶然出会う機会を演出。その一方で、意図された出会いで、リアルではなかなか合わないメンバー同士のコミュニケーションの場を提供するのだ。
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