先ほどの報道でもあったように「日テレ子会社化でジブリはジブリ美術館とジブリパークの運営に専念できる」という情報があふれているが、正確ではない。実はこれらの施設の運営主体はジブリではないからだ。
ジブリ美術館の運営元は、「公益財団法人徳間記念アニメーション文化財団」。三鷹市、徳間書店、日本テレビが主体となっている公益財団法人で、ジブリは運営するためのノウハウを提供する立場だ。
ジブリパークも運営元は「株式会社ジブリパーク」。先ほども触れたように、ジブリと中日新聞社が合同で立ち上げた会社で、社長も中日新聞の社長が務めている。
つまり、ジブリは自社でテーマパークを運営しておらず、自治体や他の企業とコラボして一歩引いた立場で任せているのだ。これまでのジブリは、自分たちはあくまで「アニメ制作者集団」という位置付けなので、コンテンツを用いたテーマパーク事業にそこまで積極的ではなかったのである。
では、この方針は、日テレ子会社化でも変わらないのか。当初は鈴木氏や宮崎氏の意向を尊重するだろうが、徐々に日テレグループの事業戦略に合わせて変更を余儀なくされるだろう。
では、どう変わるのか。個人的には、ディズニーリゾートやUSJに匹敵するような「ジブリランド」のような巨大テーマパークが建設されるのではないか、と思う。
この「ジブリランド」は、広大な園内の中にいくつかのエリアがある。例えば「トトロ」の世界を再現して、猫バスなどを走らせる「トトロの森」だ。あるいは『千と千尋の神隠し』の舞台となった湯屋の「油屋」を再現して、水着でまわって楽しめるような「ウオーターパーク」をつくってもいい。デジタル技術を用いた体験型のアトラクションがあってもいい。例えば『天空の城ラピュタ』で描かれたような空の旅が楽しめるアトラクション「ラピュタ・ザ・ライド」なんてどうか。
「そんなの宮崎駿氏が絶対に認めない思う」という声が聞こえてきそうだ。筆者も同感である。ただ、これからは子会社なので、もし日テレグループで「多角経営の一環としてインバウンド需要を見込んでテーマパーク事業に力を入れる」という戦略が定まったらどうなるか。世界的に人気のあるジブリ作品を活用すべきという話になるはずだ。
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