同じ中華チェーンでも結構違う! 「餃子の王将」と「大阪王将」のビジネスモデルを分析してみた両王将を比較(2/4 ページ)

» 2023年10月01日 05時00分 公開
[山口伸ITmedia]

安さと安定の京都 やや高く、自由度の高い大阪

 メニューから両者の違いを見てみよう。

 餃子の王将・大阪王将ともに、餃子を中心にさまざまなラーメン・飯物を提供している。一方、価格帯は大阪王将の方が100〜200円程度高めの設定となっている。中華そばや餃子など、価格がほとんど変わらないものもある。ただ、麺類の場合は餃子の王将が550〜750円程度であるのに対し、大阪王将は600〜850円程度である。

 似たようなメニューで比較すると餃子の王将の「天津炒飯」が693円なのに対し、大阪王将の「ふわとろ天津炒飯」は820円だ(新宿店)。他にもレバニラ炒めの場合、餃子の王将が583円であるのに対し、大阪王将は710円となっている。

餃子の王将 北海道・東北・関東・信越メニュー(出所:同社公式Webサイト)
餃子の王将 北海道・東北・関東・信越メニュー(出所:同社公式Webサイト)
大阪王将・新宿店のメニュー(出所:同社公式Webサイト)
大阪王将・新宿店のメニュー(出所:同社公式Webサイト)

 アルコール類では差がさらに顕著だ。餃子の王将ではビール(中)とレモンサワーがそれぞれ495円、286円であるのに対し、大阪王将ではそれぞれ560円、510円だ。また、「焼豚炒飯&チキン南蛮」(990円)のように、ボリュームのあるセットメニューを提供している点も大阪王将の特徴である。

 店内の席を見ても、大阪王将が比較的広めなのに対して、餃子の王将は街の中華屋のように高回転率で利益を上げようとしていることが分かる。

 また、価格設定でも異なる点がある。餃子の王将では、エリアごとに商品価格が均一に設定されている。一方、大阪王将では同じエリアでも店舗によって価格がやや異なる。周辺住民の平均時給や駅の乗降客数などを鑑みて設定しているという。

 その上で、大阪王将は全体的にメニューの自由度が高い。同じ商品を提供していても、メニュー構成が店舗ごとに大きく異なる。そのため、メニューだけ比べれば違うチェーン店のような印象がある。店舗限定メニューを前面に打ち出しているのも大阪王将の特徴である。餃子の王将も店舗ごとのオリジナルメニューを提供しているが、自由度は大阪王将より低い印象だ。

直営主義の京都、FC展開の大阪

 大阪王将でみられる店舗ごとのオリジナリティは、オーナーの違いに起因するのかもしれない。国内で展開する約340店舗のうち、フランチャイズ(FC)店は9割近くを占める。一方、餃子の王将はFC比率が3割に満たず、ほとんどが直営店である。また、FC店といっても半分は社員が独立してオープンした店舗である。

 餃子の王将の本部が統制を取ろうとする姿勢は社員教育にも現れている。餃子の王将では「王将調理道場」と「王将大学」、2種類の社員教育制度を構えている。王将調理道場では均一的な調理技術を叩き込み、王将大学では店舗経営のノウハウを教えているそうだ。大阪王将にも資格制度のようなものはあるが、餃子の王将ほどの制度はない。料理の味は店舗によって左右されがちだという。

調理技術を教える、餃子の王将の「王将調理道場」(出所:同社公式Webサイト)

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