ここまでをまとめよう。餃子の王将を率いる王将フードサービスは、直営主義の下で社員教育を充実させ、店舗ごとの違いが少ない画一的な店舗展開を進めている。直営店がほとんどを占める、正統な飲食事業会社のビジネスモデルである。対する大阪王将の運営元・イートアンドホールディングスは、FC店が主軸。並行して大阪王将のブランドを活用し、餃子などの冷食販売でも一定のシェアを握る。両事業とも100億〜200億円規模と同程度の売上高を有しており、飲食業&食品メーカーの事業形態である。
今後について、餃子の王将はテイクアウト&デリバリー専門店の出店強化を進めるとしている。一方の大阪王将は、需要拡大が続く冷食販売の強化を進めつつも、実店舗では「街中華モデル」の出店にシフトするようだ。街中華モデルとは、その名の通り街中華を模した店舗形態であり、簡素なテーブルと椅子で構成された高回転率を目指す店舗である。
また、省人化や品質の安定化を目的として厨房の自動化も検討している。23年夏から、TechMagic(東京都江東区)が開発した調理ロボット「I-Robo」のテスト導入を進めているようだ。I-Roboは野菜炒めや炒飯などの炒め物を自動で調理するロボットであり、オプション次第ではフライパン洗浄まで実施してくれる。
こうした施策によって、大阪王将は店舗の簡素化と商品の均一化を目指しているとみられる。均一な商品を街中華に模した店舗で提供するのは餃子の王将の方針に近い。実店舗において、大阪王将の特徴は将来的に餃子の王将に近付いていくのではないだろうか。
山口伸
化学メーカーの研究開発職/ライター。本業は理系だが趣味で経済関係の本や決算書を読み漁り、副業でお金関連のライターをしている。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー Twitter:@shin_yamaguchi_
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