フランス発「ティファール」の炊飯器が人気 「ザ・ライス」の特徴は?あの会社のこの商品(4/6 ページ)

» 2023年10月05日 08時00分 公開
[大澤裕司ITmedia]

伝統的な釜を基に開発した球状釜

 ザ・ライスのもう一つの特徴は、内釜の形状が挙げられる。他社の炊飯器の内釜と比較して、幅広で浅い球状となっている。

「ザ・ライス」の内釜として開発した球状釜

 特徴的な形状ではあるが、「昔から使われてきた伝統的な釜から想像してつくっています」と島村氏。浅いと火が入りやすく熱対流が起こりやすいことから、炊飯釜に適しているという。

 浅くしたことのほかに採用した工夫は、上下に角度をつけたこと。底の両端が上がり、縁の近くで中央方向に絞り込まれている。大きな熱対流と熱の循環を促して加熱ムラを抑え、米の中心までふっくら炊き上げられるようにした。

上と下に角度をつけたことで内釜は球状になったが、これにより大きな熱対流と熱の循環が促されて加熱ムラが抑えられ、米の中心までふっくら炊き上がるようになった

 釜の素材は鉄とアルミの2つ。熱伝導性に優れるアルミを内側、発熱効率の高い鉄を外側に配し、釜内を早く均一に加熱する。厚さが約3ミリと厚く、熱を蓄えて包み込むように炊き上げる。島村氏は次のように話す。

 「強い火力でどれだけ米に熱を加えることができるかが、おいしいご飯を炊く重要なポイント。これを実現するために素材を選定し、簡単に冷えないよう厚くしました」

 そして、熱が釜の外に逃げるのを抑えるため、縁を他のところより厚くして段をつけた。段をつけることで放熱を抑え、釜の中に熱を閉じ込めて熱循環を促すようになっている。

球状釜の構造。内側にはご飯のこびりつきを防止するノンスティック2層コーティングを施している

 球状釜にたどり着くまで試作した内釜は20個ほど。おいしさとデザイン性の高さを両立させることを念頭に、いろんなパターンをつくった。

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