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「寝坊」「遅刻」「リスケ」の3語で謝罪メール完成 GMOの生成AIサービスがスゴイプロンプトのポータルサイト

» 2023年11月09日 06時00分 公開
[今野大一ITmedia]

 「寝坊」「遅刻」「リスケ」と打つと即座に謝罪文が完成する――。GMOインターネットグループは11月7日、生成AIを使った新サービス「教えて.AI byGMO」を発表した。

 同サービスは生成AIプロンプトポータルサイトという形で、同社とグループ会社のGMO AI & Web3、AIに見識のあるSHIFT AI(東京都渋谷区)とTALMOOD(タルムード、東京都港区)の4社で設立した新会社「GMO教えてAI」が運営を担う。

 同日にはGMOインターネットグループ第2本社(東京都渋谷区)で、生成AIイベント「GMO AI Meet Up 2023」を開催。同サービスについての説明があった。

GMOインターネットグループは生成AIイベント「GMO AI Meet Up 2023」を開催した(以下撮影:河嶌太郎)

「寝坊」「遅刻」「リスケ」と打つと、どんな謝罪文ができる?

 今回の新サービスは、ChatGPTやBardなどの生成AIが利用者の意図通りの結果を出力するために必要な「プロンプト(指示文)」を紹介するポータルサイトだ。

 文章生成のためのプロンプトに特化していて、無料で提供する。サイトに掲載されるのは、運営会社「GMO教えてAI」の取締役などAIの専門家が作成したプロンプトの他、GMOインターネットグループによって有用性が確認されたプロンプトだ。プロンプトは現在「プロンプトエンジニア」という専門職ができるほど、専門的知識や技術が求められている。

 実際に教えて.AI byGMOのサイトを開き、メール文を作成してみた。まず「コミュニケーション」のタブを押す。さらに対社外用メール作成の項目を選んで「プロンプト実行」を押し、「寝坊」「遅刻」「リスケ」と打つと「本日の打ち合わせについて」という件名で以下のメール文例が出てきた。作成時間は20秒程度。

 いつもお世話になっております。XXX社のYYYと申します。

 本日の打ち合わせについて、大変申し訳ございませんが、遅刻してしまう可能性がありますことをお詫び申し上げます。突然のご連絡となり恐縮ですが、その理由として、朝のアラームのトラブルと交通渋滞が予想されるため、時間通りに到着することが難しい状況となっております。

 可能であれば、打ち合わせの時間をリスケしていただくことは可能でしょうか。大変申し訳ございませんが、何卒ご検討いただけますと幸いです。

 この度は、ご迷惑をおかけし誠に申し訳ございません。何卒よろしくお願い申し上げます。

 以上、よろしくお願いいたします。

敬具

(あなたの名前)

 教えて.AI byGMOでは米OpenAI社のAPI(モデルGPT-3.5)を利用することで、プロンプトをその場で実行し文章を出力する。当初は約100種類のプロンプトの掲載からスタート。今後は「まず利用者10万人を目指し、広告などによる収益化を狙う」(GMO教えてAIの内田朋宏社長)という。

「予期せぬアラームの不具合」「朝のアラームのトラブル」など的確(!?)な遅刻理由まで提示してくれる

 GMOインターネットグループはAI活用の3つの柱として「時間とコストの節約」「既存サービスの質向上」「AI産業への新サービス提供」を掲げている。会見に登壇した同社の熊谷正寿代表は以下のように生成AIへの期待を語った。

 「(米OpenAI社のサム・アルトマンCEOがChatGPTを公開してから)この1年間、私は毎日必ず生成AIに知恵をいただきながら経営に当たり、勉強し、生活のありとあらゆる場所で、この生成AIを活用してみて確信しました。それはインターネット革命の後半戦は、この生成AIと、AIに関心が高い皆さまが主役であるということ。それを確信して、この会の開催に至りました」

 その上で、生成AIについての一般的な関心が高くない日本の現状に、懸念も示した。

 「(生成AIに対して)アツいのは、この渋谷界隈やインフルエンサー、専門家、 AIに関心が高い人たちといった、人口比で1%ほどの方だけなんです。これでは、日本がまたもや諸外国のITベンチャーに遅れを取ってしまうという非常に強い危機感を抱きました」

 GMO教えてAIは今後、このサービスの運営のみにとどまらず、あらゆる場面で使われるようになるツールとしてのAIを、全ての人が「使いこなす」ことを支援する事業も展開していくという。

GMOインターネットグループの熊谷正寿代表

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