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北九州のソウルフード「資さんうどん」が全国区に? 社長が関西で感じた“手応え”(3/3 ページ)

» 2023年11月09日 08時00分 公開
[宮武和多哉ITmedia]
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ファストリ→資さんへ 社長就任の経緯

――佐藤社長はファーストリテイリング(「ユニクロ」の運営会社)などを経て、資さんうどんの社長に就任しました。その経緯をお聞かせください。

佐藤社長: 当時の資さんうどんは、2011年に創業者・大西章資さんが経営から退き、全株式が投資ファンド「ユニゾン・キャピタル」(回転寿司「あきんどスシロー」などを急成長させた実績がある)に売却されるなど、経営の転換点にありました。

 私はもともと、ファーストリテイリングに勤務していた際に「おいしいうどん屋さんがある」と勧められて資さんを訪問。あの時のおいしさは、とても印象に残っています。

 投資ファンドから「社長を託したい」というお話をいただいた際に、妻を連れて資さんうどんを8軒ほど訪問。各店の状況を確認しながら、さまざまなメニューを食べ歩きました。その際のお店の接遇や、資さんうどんの飲食店としての実力を確認し、社長を引き受けることを決意しました。

――「資さんうどん」の、うどん店・飲食店としての強みを教えてください。

佐藤社長: 基本となるうどんの味はもちろん自信があります。麵だけでなく、多い店では1日6〜7回も昆布、サバ節などからダシをとっており、どの時間でも最高のうどんをご提供できます。

資さん

 また、一番人気の「カツとじ丼」を始めとする丼物や、年間540万個を超えるぼた餅など、幅広いメニューも強みです。「うどんを食べに行こう」だけでなく「資さんに行けば、何かしらおいしいものがある」という来店動機で利用されており、多くの方に月2回以上のリピーターとして、来店していただいています。

 家族やグループでの外食は意見が分かれがちですが「メニューが幅広い資さんなら全員の意見が一致する」という方も多く、常連のお客さまには「とりあえず資さんうどんに行く」ことを「資る(すける)」と呼んでいただいております。

従業員の満足度向上にも工夫 

――店舗の拡大にあたっては、従業員の方々の養成が欠かせません。人手不足も続く中、どのような策を取っていらっしゃるのでしょうか。

佐藤社長: 資さんうどんを始めとする飲食業は、製造から接客までをこなしつつ、お客さまに満足していただかなければいけません。資さんうどんを担うスタッフを尊敬し、大切にしていかなければいけないと実感しています。

 私は創業者・大西章資さんとお話しする機会はありませんでした(佐藤社長が着任する前の2015年に死去)。しかし、そのDNAを言語化するために「幸せを一杯に。」という経営理念を掲げました。また、経営のリーダーシップをとるエリア長・店長の皆さまには「資さん大学」などの研修・教育プログラムで、その理念をお伝えしています。

 また、資さんうどんは、スタッフの方々も「資さんが好き!」という方が多い傾向にあります。さらに資さんを広めていただけるように「休憩中の“まかない”(食事)は全品半額」「家族や友達と一緒に来店しても3割引」という施策を取っています。

――最後に、メッセージがあればお願いします。

佐藤社長: 23年は岡山県・大阪府に出店しましたが、いずれは関東地方や、全国的な展開も考えています。

 北九州47年間にわたって愛されているソウルフード・資さんうどんを、「九州の資さん」「西日本の資さん」、いずれは「日本の資さん」として、皆さまに味わっていただきたいと考えています。

資さん 株式会社資さん 佐藤崇史社長

編集後記

 「資さん」のベースとなるうどんは、オーソドックスに見えて麺・ダシ共にしっかりした特徴があり、印象に残りやすい。またサイドメニューも「サイド」と言えないほど手厚い支持を得ている。

 競争や物価高など厳しい状況が続く中、「資さん」はうどん店でも和食ファミレスでもない、独自のポジションを築けるかもしれない。まずは関西で支持を広げることができるか、その成否を見守りたい。

宮武和多哉

バス・鉄道・クルマ・駅そば・高速道路・都市計画・MaaSなど、「動いて乗れるモノ、ヒトが動く場所」を多岐にわたって追うライター。幅広く各種記事を執筆中。政令指定都市20市・中核市62市の“朝渋滞・ラッシュアワー”体験など、現地に足を運んで体験してから書く。3世代・8人家族で、高齢化とともに生じる交通問題・介護に現在進行形で対処中。

また「駅弁・郷土料理の再現料理人」として指原莉乃さん・高島政宏さんなどと共演したことも。著書「全国“オンリーワン”路線バスの旅」(既刊2巻・イカロス出版)など。23年夏には新しい著書を出版予定。

 noteでは過去の執筆記事をまとめている。


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