利用されない指定席券売機 やっぱり「駅の窓口廃止」は間違っている杉山淳一の「週刊鉄道経済」(5/6 ページ)

» 2023年11月10日 07時00分 公開
[杉山淳一ITmedia]

キャンセル手続きが想像以上の煩雑さだった

 私はネット予約を利用しているほうだと思う。在来線にまたがるきっぷは「えきねっと」などで予約して、指定席券売機で受け取る。これがなかなか面倒だ。まず、私はJR沿線ではなく、東京郊外の大手私鉄沿線に住んでいる。JRのきっぷを受け取るためには、最も近い指定席券売機まで私鉄に乗って最寄りのJR駅に行く必要がある。たいていは都内へ出掛けた際にJR駅に立ち寄る。

 それでも私は今まで、窓口の減少や指定席券売機の移行に異議はなかった。これがおかしいと思い直した理由はキャンセル時の扱いだ。

 今年の2月、私と友人は東京から郡山経由で只見線(福島県会津若松駅から新潟県小出駅)の雪の旅を企画した。在来線が含まれるし、友人も同行するから、私がネットで予約してきっぷを発券した。往路の乗車券、往路の新幹線特急券、復路の乗車券、復路の新幹線特急券、帰路は会津若松から観光列車「フルーティアふくしま」に乗ることとし、その指定席券。1人だけで5枚、2人で10枚のきっぷが手元にある。

 ところが私の都合がつかず、当日朝にキャンセルすることになった。きっぷを払い戻したい。新幹線の発車時刻前に手続きしたい。そのとき最も近いJR駅の「話せる券売機」に行った。並んでいない。さっそく操作しようとオペレーター「呼び出し」を押すと、「ただいまの待ち人数10人」と表示された。そのまま10分ほど待たされた。私の後ろに定期券を買おうとするお客様が2人並んだ。窓口の行列ならまだしも、券売機の前で何も操作せずに待つという仕草は居心地が悪い。

話せる指定席券売機で10人待ち。客にとっては動く行列が見えないため、待ち時間のメドが立たないことでストレスになる

 みどりの窓口のキャンセル手続きなら、係員がきっぷを受け取って、端末機に次々にきっぷを挿入して、仕上げに購入時のクレジットカードを読み取らせて終了だ。1分ほどだろう。「話せる指定席券売機」もそうなるものだと思っていた。

 しかしオペレーターにきっぷの払い戻しを伝えると、書見台にきっぷを並べろといわれた。まず目視で確認してからのようだ。ところが書見台にはきっぷ9枚分しか並べられない。9枚を確認し取り除き、残り1枚を書見台に載せて確認してもらって、改めて指示があり「話せる指定席券売機」に挿入する。

 誰も並んでいない「話せる指定席券売機」の前で10人待ち、さらに手続きで約10分かかる。私の期待値として、誰も並んでいない窓口だったら3分で終わるところが20分かかった。この間、もちろん立ちっぱなしだ。私はがっかりした。こんなことなら、この旅は始めから自動車で行けば良かったと思ってしまう。こういうやりとりは私だけだろうか。

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