無印良品が「中国でもうけている」意外なワケ 国内は減益なのに、なぜ?妄想する決算「決算書で分かる日本経済」(1/3 ページ)

» 2023年11月13日 07時00分 公開
[妄想する決算ITmedia]

 決算書から日本経済を読み解く本連載。今回は無印良品を運営する良品計画を取り上げていきます。

photo 画像はイメージです(提供:ゲッティイメージズ)

 実は無印良品の店舗数は、国内よりも海外が上回ります。その中でも利益率が特に高いのが、中国を中心とする東アジア事業です。国内では苦戦が続く中、ゼロコロナ政策転換後の中国ではなぜもうかっているのでしょうか。決算書から、同社の業績を読み解いていきます。

中国の利益率が、国内より高いワケ

 2022年8月期の良品計画の商品別の売上構成は下記の通りで、(1)衣服・雑貨と(2)生活雑貨が売り上げの8割以上を占める主力商品となっています。

  • (1)衣服・雑貨:36.8%
  • (2)生活雑貨:46.9%
  • (3)食品:12.1%
  • (4)その他:4.2%
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 8月末時点で1188店舗を展開しており、国内が562店舗に対し、海外は626店舗と上回ります。

 海外店舗は東アジアが482店舗(うち中国大陸が361)、東南アジア・オセアニアが87店舗、欧米が57店舗です。中国大陸を中心に、アジア圏を主力市場として海外展開している企業だと分かります。

 事業セグメントは(1)国内事業(2)東アジア事業(3)東南アジア・オセアニア事業(4)欧米事業と4つあり、市場ごとに区分されています。

 23年8月期のセグメント別の売上比率と原価配布後営業利益の額は下記の通りです。

  • (1)国内事業:58.9%(349億円)
  • (2)東アジア事業:29.6%(304億円)
  • (3)東南アジア・オセアニア事業:5.4%(28億円)
  • (4)欧米事業:6.1%(9億円)
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 主力は国内ですが、利益面では中国市場を中心とした東アジア事業も大きいです。

 セグメント別の利益率に関しては、国内事業が10.2%に対して東アジア事業は17.7%と、明らかに利益率が高いことが分かります。

中国では高い利益率 ブランドイメージが貢献

 中国の無印良品は、良質な商品を扱っているというイメージ人気が高まりました。このため、日本と同じ商品でも中国市場でのほうが高価格で販売されるケースが多く、高い利益率を実現しています。

 近年は中国市場でも、無印良品に似た商品を取り扱う名創優品(メイソウ、MINISO)などが成長し押され気味です。それでもこの利益構成からは、企業にとってイメージやブランドがどれだけ重要か分かります。

 良品計画についてざっくりと把握できたところで、コロナ禍の前後でどのような変化があったのか、19年2月期以降の業績の推移を見ていきます。売上高は、決算期の変更があった20年8月期以外は成長を続けています。

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 一方で利益面の推移を見ると、21年8月期は比較的好調でしたが、それ以外の期では利益は悪化傾向となっています。

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 ちなみに20年8月期は、コロナ禍で店舗営業が十分にできなかったことに加えて、米国事業でチャプター11(日本の民事再生法のようなもの)の申請という特殊要因があり大きく下落しています。

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