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「営業活動の進捗どう?」 上司の質問の意図をどう見抜くか、2つのパターンを紹介営業コミュニケーション大解剖(2/2 ページ)

» 2023年11月13日 08時30分 公開
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上司の案件進捗の意図:実は上司の方がピンチ

 もう1つのパターンとしては、質問された営業メンバーではなく、上司自身に(たいていは緊急の)問題があり、そのために情報収集しようとしている場合があります。

 このパターンでは、上司は自分よりさらに上の役職者の指示を受けて動いていることが多いです。例えば「今週末の役員会議で重点顧客の進捗について報告することになったから、そのための資料を作成してほしい」といった、納期の迫ったオーダーが突然降ってきたために、急いで情報を集めようと営業メンバーを捕まえて進捗を確認しているのかもしれません。

 他にも、月末、四半期末、期末などの目標達成に向けて、あと少し受注件数や金額の見込みが足りないという場合、営業メンバーがこっそり隠している案件がないか、より注意深く聞き取ろうとしている場合もあり得ます。

 また、もはや目標達成は厳しい状況が見えてきてしまった時に、市場環境や競合の動向などから合理的な説明(という名の言い訳)ができないかと検討する必要があり、ネタ探しのために営業メンバーの話を聞きたがっている可能性もあります。

 このパターンの質問は、突発のオーダーへの対応以外は期末や大きな会議の前などに時期が偏るので見極めやすいです。また、特定の営業メンバーだけでなく、複数の営業メンバーに同じような質問をしている様子が見受けられた時には、上司の事情で質問してきている場合が多いと考えられます。

 いずれにせよ、上司自身の事情で進捗を尋ねてくる場合には、営業メンバー自身は「関係がない」とも言えます。しかし、回りまわって日頃の営業活動のやりやすさにつながるかもしれませんので、上司の苦労を考えて協力的な対応をすることをおすすめします。

上司の意図を読んで適切なコミュニケーションを

 2つのパターンに分けて、上司から突然案件の進捗を尋ねられる背景を解説しました。当たり前のことですが、いずれの場合でも上司は皆さんの営業活動の「敵」ではなく、目標達成に向けてサポートしてくれる存在です。過剰に恐れず自分のペースで働けるように、上司の目線をうまく想像しながら業務に取り組んでみてください。

筆者プロフィール:水嶋 玲以仁 グローバル・インサイト合同会社 創設者兼CEO

インサイドセールスの実務全般について、20年に及ぶ経験を持つ。そのうち16年間は、世界有数のIT企業でBtoB及びBtoCのインサイドセールス、営業チームの発展と管理業務に携わる。(Dell で7年、 マイクロソフトで6年、Googleで3年)。その後、JTB、NEC、ソフトバンクなど日本企業のコンサルティングの実績を持つ。著書に「インサイドセールス究極の営業術」(ダイヤモンド出版)「リモート営業入門」(日経文庫)「実践営業デジタルシフト」(日本経済出版)。


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