寮ができて、今年で6年目である。気になる離職率はどうなったのか。「入社3年以内の離職率は0%ですね。寮ができて、これまで数人しか辞めていません」(松本さん)という。数字だけを見ると「寮をつくった=離職率が減った」と感じるかもしれないが、その相関関係を証明することは難しい。
ただ、利用者にアンケートを実施したところ「同期との絆が深まった」「同期が活躍している姿を見て、自分もガンバリたいという気持ちがわいてきた」「同期とずっと一緒に働きたい」といったコメントがあったそうだ。離職率が低下しただけでなく、利用者の満足度が高いことから、会社側も手ごたえを感じているようだ。
とはいえ、いいことばかりでもない。最後にちょっとしたトラブルの話を紹介しよう。ひとつ屋根の下で暮らしているので、どうしてもケンカは避けられない。いざこざの原因は、掃除に関係することが多いそうだ。
例えば、キッチンで料理をしていて、それをどのタイミングで片付ければいいのか。料理が終わって食べる前の人もいれば、食べ終わってすぐの人もいれば、翌日の人もいる。すぐに片づけてほしいといった人からすれば、翌日行動する人にイライラしてしまう。こうした小さなことが積もりに積もって、ちょっとしたトラブルに発展することがあるそうだ。
では、そうしたケースに対して、会社側はどのように対応しているのか。基本的には、関与していないそうだ。トラブルに限らず、寮に関するルールなどにもタッチしていない。門限などのルールは会社側が設定しているのではなく、入社1年目の人たちが決める。というわけで、毎年のようにルールが変わっていくそうだ。
あと、数カ月すると、また新しい仲間がココにやって来る。ルールは変わっても「同じ釜の飯を食う」仲間ができることは、間違いなさそうだ。
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