労働環境が変わる中、社員たちが上司に求める理想や常識も変化してきている。では、昨今の若手社員の就労意識は、上司世代と比してどのように変わったのだろうか。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング社が毎年発表する「新入社員意識調査アンケート結果」によると、このような特徴が垣間見える。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング、2019年度「新入社員意識調査」アンケート結果より
いかがだろうか。かつての上司世代が考える「報酬」といえば「出世」と「給料アップ」であり、「逆にそれ以外に何があるのか?」という意見がほとんどだったことだろう。しかし、現在の若手社員の価値観は大きく異なる。
彼らが会社組織に求めるのは「給料よりもノー残業&休日確保」。また、この10年間で「プライベートに干渉されないこと」を重要視する人の割合も明らかに高まっている。すなわち、昨今の若手社員にとっては「ワーク・ライフ・バランスを確保すること」も「働く時間と場所を自由に選べること」も、「周囲に気兼ねなく定時に帰り、休みも取れる環境」も、その全てが「報酬」になるといえよう。
従って、それらを含めた多様な価値観を許容できる上司および組織こそが、若手にとって魅力であり、選社基準だということを上司世代は強く認識しておくべきなのだ。
さらに強く認識しておきたい点として、あらゆる調査において「求める上司像」が明らかに変化していることが挙げられる。
一般社団法人日本能率協会「2022年度新入社員意識調査」によると、同年度の新入社員にとって理想の上司・先輩は、「仕事について丁寧に指導する人」(71.7%)が1位。同項目は2012年以降の調査では過去最高を記録している。
一方で、2012年当時数値の高かった「場合によっては叱ってくれる上司・先輩」や「仕事の結果に対する情熱を持っている上司・先輩」は大幅にダウンという結果となっている。これらの結果を見る限り、若者世代が従来のような「情熱的な上司」よりも「寛容な上司」を求めていることが分かるだろう。
全体的な傾向として高まっているのが「丁寧な指導」「成長や力量に対する定期的なフィードバック」へのニーズだ。つまり、若手社員が上司や先輩に対して求めているのは「手厚い個別対応」なのである。
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