「10日で1万食」「来春までに130トン」 収まらないホタテショックの裏で、どんな支援が広がっているのか長浜淳之介のトレンドアンテナ(3/4 ページ)

» 2023年11月23日 05時00分 公開
[長浜淳之介ITmedia]

 回転寿司でもホタテ支援の輪が広がっている。くら寿司では「日本の漁業を応援」キャンペーンを、9月22日から開始。その第1弾では「国産肉厚ほたて(一貫)」(260円)を販売した。シャリを隠すほど大きなサイズのホタテは、昨今の価格上昇により販売機会が減っていたところ、中国の禁輸措置により、提供できるようになった。

くら寿司の国産肉厚ほたて(撮影:筆者)

 同社では10年に産地直送の新鮮な魚を提供する「天然魚プロジェクト」を開始。全国の漁港・漁協と直接取引し、独自のルートで国産天然魚をより安く提供する仕組みを構築していた。同プロジェクトで培ったネットワークを活用して、4月に「くらの逸品」シリーズを展開しており、「日本の漁業を応援」キャンペーンは、その特別企画という位置づけである。

競合企業の連携で生まれた「プロジェクトH」

 SRSホールディングス傘下のフーズネット(大阪市)が展開する「にぎり長次郎」「廻転寿司CHOJIRO」では、回転寿司評論家の米川伸生氏・すし銚子丸とともに発起人となり、回転寿司6社による共同キャンペーン「プロジェクトH(HOTATE)〜絆で救おう!日本のホタテ〜」を11月6〜23日に開催。各企業が独自に開発したホタテ寿司を1貫ずつ盛った「絆のホタテ五貫盛り」をメイン商品として販売している。

プロジェクトHとして提供している、絆のホタテ五貫盛り。写真はすし銚子丸のもの(同前)

 キャンペーンでしか味わえない特別なメニューとして、各社が属する5グループで自信作を持ち寄り、試食・議論を重ねながらメニュー開発したという。五貫盛りの内容は、すし銚子丸提案の「ホタテのなめろうにぎり」、石川県をメインに展開する「金沢まいもん寿司」提案の「ホタテ蟹共和えのせ」、にぎり長次郎提案の「ホタテのたこ焼き寿司」、愛知県を拠点とする「魚魚丸(ととまる)」提案の「ホタテの奥三河八丁味噌仕立て」、岩手県「清次郎」提案の「三陸めかぶのホタテ軍艦」。いずれも、ホタテ料理の世界を広げる、斬新な発想の寿司ばかりだ。

 フーズネットの担当者によると、にぎり長次郎の各店舗では「週に40食ほど出ていて、メニュー数が多い中では売れているのではないか」と好評を博す。にぎり長次郎と廻転寿司 CHOJIROでは、10月24日〜11月23日の予定で、「産地応援 ほたて祭」も開催している。「ほたておろしいくら」「ほたてタルタル」など8種のホタテ寿司の他、ホタテを含む握りに天ぷら、ミニグラタン、小鉢、赤だし、季節のデザートが付いた「ほたて御膳」(2480円)も展開中だ。

フーズネットが展開しているホタテフェアのメニュー。にぎり長次郎と廻転寿司 CHOJIROで提供(出所:プレスリリース)

 また、すし銚子丸でも、絆のホタテ五貫盛りを1540円で提供するほか、「ほたて漬け炙り」「ほたて海苔包み」を各550円で販売している。

すし銚子丸のほたて海苔包み(撮影:筆者)

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