教習所のクルマが旧態依然としているワケ 教習車ならではの事情高根英幸 「クルマのミライ」(2/5 ページ)

» 2023年11月26日 08時30分 公開
[高根英幸ITmedia]

教習車ならではの“需要”とは

 マツダが「アクセラ」セダンを教習車として販売していたから、今見ても違和感の少ない教習車もある。一方、教習車としても使われていたトヨタ「コンフォート」は今やタクシーでもあまり見かけなくなった車種だし、現在教習車として提供されている先代の「カローラ」も営業車以外はあまり見かけないクルマだ。

 そんな外観が問題なのではなく、重視すべきはその操作方法だ。近年、クルマはADAS(先進運転支援システム)を始めとした電子デバイスの搭載が続々と進んでいる。

 そのため街を走るクルマ全体を見回せば、パーキングブレーキがセンターコンソールの長いレバーで操作するサイドブレーキとなっているのは今や極めて少数派で、足踏み式、もしくはスイッチで作動させるEPB(電動パーキングブレーキ)が多い。現在販売されている新車ではEPBが圧倒的で、軽自動車にも搭載されている。

レバーで操作するサイドブレーキ。あまり見かけなくなった(イメージ)

 マツダはドライバーの運転感覚に寄り添うことにも注力しており、ハプニング時の緊急回避手段としてもサイドブレーキが有用であることから、近年までレバー式のサイドブレーキを採用してきた。ユーザーの要望の変化からEPBに移行した車種もあるが、いまだにレバーを採用する車種を残している。

 これが教習車の需要とマッチしていることから、マツダはアクセラから「デミオ」(現行の「MAZDA2」)に教習車を変更し、わざわざ輸出仕様のセダンを教習車として仕立てている。なぜそんなことをしているのか。それは前述の運転免許の取得方法にも端を発している。

マツダはデミオ(MAZDA2)に国内仕様にはないセダンを用意して、補助ブレーキなどを追加することで教習車として提供している(出典:マツダ)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.