そこで定期的に教習車の何割かを入れ替えることになるのだが、ここで問題が発生する。教習車によって操作方法が変わってしまうと、教える側にも戸惑いが生じる。運転教習を受ける生徒の方も、車種によって操作方法が変わってしまうと、それに慣れるための練習時間が必要になり、運転技術の習得に余計な作業が加わってしまうのだ。
どちらかというと免許取得者ではなく、教習所側の都合でなかなか教習車の操作方法は変えられない、というのが実情のようだ。
教習車が変わるのは、入れ替えのタイミングで行われるディーラー同士の販売競争が理由である場合も多い。ある程度まとまった台数で入れ替えるため、ディーラーは登録台数が稼げるのと、その後の納入も期待できることから、最初はもうけがほとんど出なくても契約を取りに行くのだ。
生徒に対しても、教習車で慣れ親しんだブランドのクルマを購入しようという刷り込みにも似た効果も期待できる。
ともあれ、教習車に最近のクルマに合わせた先進的な装備を備えさせ、それを教習内容に盛り込むのはかなりハードルが高いことだけは間違いない。
芝浦工業大学機械工学部卒。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。これまで自動車雑誌数誌でメインライターを務め、テスターとして公道やサーキットでの試乗、レース参戦を経験。現在は日経Automotive、モーターファンイラストレーテッド、クラシックミニマガジンなど自動車雑誌のほか、Web媒体ではベストカーWeb、日経X TECH、ITmedia ビジネスオンライン、ビジネス+IT、MONOist、Responseなどに寄稿中。著書に「エコカー技術の最前線」(SBクリエイティブ社刊)、「メカニズム基礎講座パワートレーン編」(日経BP社刊)などがある。近著は「きちんと知りたい! 電気自動車用パワーユニットの必須知識」(日刊工業新聞社刊)、「ロードバイクの素材と構造の進化」(グランプリ出版刊)。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング