AIや機械に仕事を任せるには、どのような配慮が必要なのでしょうか。まず、利害関係者に納得感があるかどうかは重要です。
採用の一次選考をAIに任せるならば、その旨を応募者に伝え、保育や介護をロボットに任せるならば利用者の承認を得ておくなど、利害関係者との事前合意は重要です。
ニューヨーク市のAEDT規制条例には「従業員や求職者に、評価や査定におけるツールの使用を通知する。評価にあたって考慮される職務上の資格や特性も伝える」ことが義務付けられているといいます(労働政策研究・研修機構より)。
もう一つ、深刻かつ重要な課題があります。AIや機械に仕事が任されていることを知らされていない不特定多数の人に影響が及ぶことです。
無人トラックに荷物を積んで自動運転で道路を走らせるような場合、一般の人たちの車も同じ道路を利用しています。もし無人トラックに誤作動が生じ事故が起きれば、不特定多数の人が巻き込まれます。
これまでも、テクノロジーの発展は人間の多くの仕事を代替してきました。しかし、それは基本的に人間の仕事を“アシスト”する範囲にとどまります。自動車の発明で人を運ぶ手段は馬車から自動車へと替わりましたが、運転するのはどちらも人間です。自動車は馬車よりも運ぶための機能を高めたに過ぎず、その機能の“操縦”は人間が担っていました。
しかし、自動運転は異なります。他の自動車の流れに沿って加速したり、ブレーキをかけたりと、アシストの範囲を超えて “操縦”まで代替できます。テクノロジーの発展によって、代替できる機能の範囲が広がったのです。
また、AIはこれまで人間が担ってきた“判断”まで代替できる機能を備えるに至りました。すでに将棋や囲碁などのゲームで、人間はAIに及びません。
仕事においても、何が最善の選択かを判断する機能においてAIが人間を上回るようになれば、人選や事業戦略の立案など、人間が担ってきた判断仕事をAIに任せられる可能性さえあります。
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