当時、知名度がそれほど高くなかった烏龍茶をどのようにして広めていったのか。三村氏によると、お酒に関する業態での飲用経験が後押しになったという。
例えば、サントリーのウイスキーを飲食店に卸す際に、「烏龍茶を発売しました。試してみてください」と勧めた。当時、バブル期に突入しつつあったこともあり、飲食店に勢いがあった。烏龍茶の色はウイスキーと似ているため、店で働くホステスに重宝されたという。客のペースに合わせてお酒を飲み続けていると疲れてしまうが、水ばかり飲むわけにはいかない。そこで、ウイスキーと色が似ている烏龍茶は場の雰囲気を壊さないアイテムとして適していたという話が同社に伝わっている。ホステスだけでなく、飲食店の利用客による「飲みやすい」「健康に良さそうだ」といった口コミなどで、徐々にその存在が知られるようになっていった。
広告宣伝の戦略も認知度向上につながった。テレビCMには、現地の茶工場を映し出した。中国産の歴史ある茶種であることを強調するとともに、品質面での安全やこだわりを伝える狙いがあった。
サントリー烏龍茶の缶には、まるで漢詩を思わせるような文字が並んでいる。これは、中国出自のものであることを感じ取ってもらうための工夫だ。その文字の中に「美味健康」があり、現在のパッケージにも採用されている。
その後、冷蔵庫のドアポケットに入るように1リットルの紙パックが登場したり、日常的にのどが渇いた際にゴクゴク飲めるように500ミリリットルのペットボトルで販売したりと、飲むシーンの多様化に対応していった。
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