ダウントレンドが続いていた「サントリー烏龍茶」に反転攻勢の兆しが見えてきた。2001年の出荷量は5700万ケースだったが、さまざまな茶系飲料が登場したことが原因で、21年には2000万ケースを割り込むまでに減少。しかし、原点回帰ともいえる施策により、22年の出荷量は前年比1%増、23年1〜10月は前年同期比5%増となった。1981年発売のロングセラー商品に何が起きているのか。サントリー食品インターナショナルで、同商品のブランドマネジャーを務める三村啓祐氏に聞いた。
まず、サントリー烏龍茶が誕生し、ヒット商品に育つまでの経緯を振り返ろう。
同社が本格的に飲料事業を始めたのは1970〜80年代のことだ。三村氏は「お金を出して買う飲料は、コーヒー、ジュース、サイダーなど砂糖が入っているものが中心という状況でした」と説明する。ヒット商品として挙げられるのは「サントリーオレンジ50」くらいという状況で、手薄だった無糖カテゴリーの商品にチャレンジすることになったという。
当時、お茶に関しては、家庭で急須に入れたものを飲むシーンが多かった。「お金を出して買う」という意識は現在ほど広まっていなかったので、同社としては挑戦的な試みだった。
また、食文化が徐々に欧米化する一方、一般消費者の間で健康意識が高まっていったことも背景にある。サントリー烏龍茶が登場した当時の発表資料には「無糖、無着色の自然健康飲料で、しかも薬効があるとして、現在人気を集めているウーロン茶」という記述がある。
発売当時は缶入りで、容量は190ミリリットル。標準的な小売価格は100円としていた。「缶入りなので、手軽に楽しめる」「温めても冷やしてもおいしく飲める」「スポーツやレジャーのお供としてだけでなく、脂っこい料理や肉料理後の飲み物として最適」といった点が訴求ポイントだった。
茶葉は中国福建省産のものを使用し、輸入する際に品質が安定するようにした。茶葉のブレンドや、抽出の方法も工夫している。
烏龍茶の特徴として「香りはありながら、丸い甘みがあって、さっぱり後味が消える」という点が挙げられるが、缶入り飲料としてこの味わいを設計するのに苦労したという。
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