国はリニア中央新幹線の建設許可を出した。しかし静岡工区の工事が許可されない。工事現場ごとに地権者や管理者の個別の許可が必要になるからだ。ほかの公共工事でも、建設許可が出たあとで、クレーン車作業の道路占有許可とか、大型車両通行許可が必要になる。規模は違うけれども仕組みは同じ。国が建設を認めても、適切な手順を通さないと、現場の管理者である自治体は工事許可を出さない。
トンネル建設は「地表の作業拠点から斜坑を掘る」「地質調査と工事車両の作業用に先進坑を掘る」「先進坑に平行して本坑を掘る」の順で進める。斜坑は、静岡市葵区の西俣と千石の2本。このほかに、西俣斜坑と千石斜坑を結ぶ工事用道路トンネルと、トンネル内の出水を大井川に戻すための導水路トンネルを掘る。
先進坑はトンネル完成後に避難通路や保守資材置き場などで再利用される。作業拠点は非常出口として整備する。工事用道路トンネルは非常時の避難通路であり、救急車両が通る。
この静岡工区で静岡県側が問題視している論点は主に3つある。「水問題」「生態系環境問題」「残土処理問題」だ。
- 次の「新幹線」はどこか 計画をまとめると“本命”が見えてきた?
西九州新幹線開業、北陸新幹線敦賀延伸の開業時期が近づいている。そこで今回は、新幹線基本計画路線の現在の動きをまとめてみた。新幹線の構想は各県にあるが、計画は「建設を開始すべき新幹線鉄道の路線を定める基本計画」として告示されている。これと費用便益比、各地のロビー活動の現状などから、今後を占ってみたい。
- 年末年始、なぜ「のぞみ」を全席指定にするのか 増収より大切な意味
JR東海とJR西日本が、ゴールデンウィーク、お盆休み、年末年始の3大ピーク時に「のぞみ」を全列車指定席にすると発表した。利用者には実質的な値上げだが、JR3社は減収かもしれない。なぜこうなったのか。営業戦略上の意味について考察する。
- リニア駆け引きの駒にされた「静岡空港駅」は本当に必要か
富士山静岡空港を利用した。コンパクトで機能的、FDAという拠点会社があることも強みだ。しかし、アクセス鉄道がない。空港駅はリニア工事問題で引き合いに出された不運もあった。新幹線ありきの計画を見直し、静岡県民のために最も良いルートを検討してもいいのでは。
- “すれ違い”が注目されたリニアトップ面談「それでも悲観しない」理由
リニア工事を巡るJR東海社長と静岡県知事によるトップ面談は和やかに終わったが、ヤード工事の認識ですれ違いが生じ、県側は再開を認めなかった。それでも悲観する結果ではない。報道や世論で対立を煽るのではなく、トップ同士が意思確認する場を作れたことをまずは評価しては。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.