売り場にあふれる「ちいかわ」グッズ ライセンスビジネスの仕組みとは?(1/3 ページ)

» 2023年12月22日 07時00分 公開

 クリスマスから年末年始にかけて、キャラクターグッズをプレゼントなどで購入する人も多いのではないでしょうか。ディズニー、ハローキティ、アンパンマンなど毎年定番のものから、今年はSNS発のキャラクター「ちいかわ」なども大人気でしたね。

 店の売り場には、さまざまなおもちゃやグッズが並んでいますが、当然ながら、全ての商品をキャラクター製作者本人が作っているわけではありません。キャラクターグッズの裏側には「ライセンスビジネス」というビジネスモデルが存在します。

 ライセンスビジネスとは、どのような仕組みなのでしょうか。日本発の人気コンテンツは、どのようにして海外に広がっているのでしょうか。

 SNSコンテンツやキャラクター、Webtoonなどのエンタメビジネスを国内外で手掛けるMinto(東京都港区)代表取締役の水野和寛が解説します。

ライセンスビジネスの構造とは。写真は「ちいかわ」のグッズ(公式グッズショップ「ちいかわマーケット」Webサイトより)

水野 和寛(みずのかづひろ)/ Kazuhiro Mizuno

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株式会社寺島情報企画でモバイルコンテンツ事業を立ち上げ、さまざまなサイトをプロデュース。中でもデコメサイトは月額有料会員で約100万人の日本一のサイトになり、絵文字、デコメブームを牽引(けんいん)した。

その後、スマホアプリ事業を立ち上げ、株式会社テクノードを設立。ヒットアプリを多数生み出し、2010年のAppStore年間ゲームランキング1位の「Touch The Numbers」を始め、手掛けたアプリのダウンロード数は1000万を超える。

11年に株式会社クオンを設立。インターネット発のキャラクター事業を展開、世界中のチャットアプリと提携しスタンプのダウンロード数はおよそ60億件で世界一。中国、タイ、ベトナムに支社を展開中。18年からブロックチェーン/NFT領域で事業を開始し、CryptoCrystalのNFTは世界的なトレンドに。21年からThe Sandboxなどのブロックチェーン系メタバースとコンテンツ提携。22年1月に国内No.1のSNS漫画事業を手掛けるwwwaapと経営統合し、株式会社Minto代表取締役に。一般社団法人ライセンシングインターナショナルジャパン理事。


ライセンスビジネスの構造

 漫画、アニメなどのコンテンツビジネスは、作品そのものを販売して得られる収益だけでなく、作品の中に登場するキャラクターなどの商品化(グッズ、アパレルなど)によって得られる収益も大きなビジネスになります。

 キャラクターの商品化は、キャラクターを作った本人(個人・企業)が自ら製造し販売しますが、それでは製造数や販路に限界があります。

 そこで、製造数や販路を拡大するための手法とビジネスモデルが「ライセンスビジネス」です。

 キャラクターの権利を持つ人(ライセンサー)は、自らが権利を持つIP=知的財産(キャラクター、商標、ブランド、ロゴ)を、グッズメーカー(ライセンシー)などに使用許諾し、代わりに製造・販売してもらいます。これによって、ライセンサーは自分では作れない規模の量のグッズを作り、販売してもらうことができます。

ライセンスビジネスの構造((C)LIJ ライセンシングインターナショナルジャパン提供)

 反対に、グッズメーカー(ライセンシー)は、自身でキャラクターを生み出さなくても人気のキャラクターの権利をライセンスしてもらうことで、多くの顧客に注目してもらえる商品が作れます。

 結果的に、キャラクターの権利を持つ人(ライセンサー)は、製造や販売を自ら行わなくても、グッズメーカー(ライセンシー)が販売した売り上げの一部(数%〜20%など)をロイヤリティ(収益)として得ることができます。

ライセンスビジネスの構造((C)LIJ ライセンシングインターナショナルジャパン提供)
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