“ぶるぶる”するほど寒いのに、ワークマンの「冷暖房ベスト」はなぜ売ってないの?「次の駅まで」に読めるハナシ(1/2 ページ)

» 2023年12月23日 09時30分 公開
[土肥義則ITmedia]

 「もし……していたら」「もし……していれば」と感じさせられる商品がある。作業服大手のワークマンが開発した「ICE×HEATERペルチェベスト」だ。

 スイッチひとつで背中が冷たくなったり、温かくなったりする“冷暖房ベスト”である。今年の5月に発売したところ、用意していた3万着は8月中に完売。であれば増産して、この冬の商戦でどんどん売って、会社の懐も“ぬくぬく”したいところだが、店舗の棚を見ても商品は並んでいない。「また完売したの?」と思っていたら、そうでもないようで。

ワークマンの「ICE×HEATERペルチェベスト」(出典:ワークマン、以下同)
用意していた3万着は完売

 「価格を抑えるために、多くの商品は工場の閑散期につくっていまして。増産するとイレギュラーな体制になるので、それは考えていません。次の販売は来年を予定しています」と語るのは、ワークマン広報部の松重尚志さん。

 当初は2万着を準備していたが、2月に開かれた展示会で反響がよかったので、1万着を追加したとのこと。「もしあのとき、もう数万着つくっていれば……」と“たられば”を感じさせられるエピソードであるが、同社にとって冷暖房タイプの商品は初めての試みだったので、スモールスタートを選んだようだ。というわけで、たらればを感じずに、次の開発に向かって進んでいるようである。

冷暖房ベストのほかに、ワークマンはヒーターウェアを販売

 冷暖房ベストの特徴は、3つある。1つめは、わずか数秒で冷えたり、温かくなったりすること。冷却はマイナス10度で約5.5時間、温熱は43度で約10時間、連続使用できるようにした。ペルチェ素子(冷却効果のある電子部品のこと)を使った技術で、プラスからマイナスに電気を流すと逆側が冷え、電気を反転させてプラスからマイナスに流すと熱くなる。冷蔵庫などに使われている技術を、服に応用したカタチだ。

 2つめは、ベストの素材はメッシュで、薄手のつくりであること。従来のファン付き作業服と違って膨らむことがないので、この冷暖房ベストをまとって、上からファン付き作業服を着る人もいるそうだ。3つめは、音が静かであること。ファン付きの作業服の場合、どうしても音がするので、静かな環境で作業をする人にとっては「待ってました」と感じられる商品なのかもしれない。

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