再発防止にトリプルチェック! 無意味なチェック地獄にどうすればよいのかその作業ムダムダ(2/3 ページ)

» 2024年01月08日 09時00分 公開
[元山文菜ITmedia]

 一方、皮肉なことにミスが起こる原因の9割は思い込みです。チェックする人数が増えると逆に、

 「たくさんの人が見ているから大丈夫だろう」

 「他のチェック担当はしっかり者だし合ってるだろう」

 の心理が働きます。そうすると、人間の目は不思議で「ミスはないだろう」「この申請に問題はないだろう」と思い込みながら確認や承認をするので、仮に何か問題があっても見落としてしまうのです。

 ダブルチェックやトリプルチェックと確認の回数が増えると単純に業務量は増えます。

 その上、業務の流れに業務停滞という淀みを発生させます。前の人が終わらない場合に次の人は作業に取りかかれない。手順のダブり。やり取りの増加。手持無沙汰な時間。これらは、業務のボトルネックとも言われますが仕事がスムーズに進まなくなるのです。

(提供:ゲッティイメージズ)

 これらが積み重なっていくと「自分のせいで他の人に迷惑をかけられない!」ようなまじめな人たちはダブルチェックやトリプルチェックを優先してやるようになります。

 「みんなのために至急!」の大義名分のもと、チェック依頼が飛んでくると飛びついてしまうのです。ふと気付くと本来やるべき仕事が後回しにされてしまいます。

 そしてこれは承認作業も同じです。一つひとつの承認の観点が曖昧なため、職場にて同じような観点で何度も承認を繰り返しているだけのムダが発生しています。いくら回数を増やしても、統制機能を担っておらず手間ばかりかかる割に業務停滞(ボトルネック)を生みます。

 ある職場では、経費申請の事前承認をルール化しており、経費を使う時には事前に「申請者→リーダー→課長→部長」の順番で承認が必要でした。リーダーであろうと課長、部長であろうとひとまず全員が申請するようになっていました。

 そうすると、申請数が多くなりすぎるために経費申請のITツールを導入して効率化しようと奮闘されていたのですが、外出が多い部長や課長に代わりリーダーであるAさんが彼らのシステム代行権限を持っていました。

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