再発防止にトリプルチェック! 無意味なチェック地獄にどうすればよいのかその作業ムダムダ(3/3 ページ)

» 2024年01月08日 09時00分 公開
[元山文菜ITmedia]
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無くせる会社のムダ作業100個まとめてみた』(元山文菜/クロスメディア・パブリッシング(インプレス))

 しかしよくよく話を聞いてみると、リーダーのAさんが自分の事前申請をする場合には「申請者(Aさん)→リーダー(承認Aさん)→課長(代行承認Aさん)→部長(代行承認Aさん)」というように、Aさんが一人で申請して一人で承認していたのです。そして、数カ月に1回、Aさんの承認方法が合っていたかのチェックを課長と部長がそれぞれ行っていました。

 このように、思考停止で「ひとまず承認しておこう」と業務設計して仕事が増えてしまう職場は多くあります。

 業務停滞(ボトルネック)のある業務プロセスは、流れが詰まった川のようにどんどん濁っていき、いつしか悪臭を放つまでになってしまいます。思考停止で気軽に始めたダブルチェックやトリプルチェック・スタンプラリー承認は想像以上にじわりじわりと私たちを苦しめていくのです。

 そこで、まずは思考停止でチェックや承認を増やさない心構えが大切です。業務プロセスを見直したり仕組みに問題がないのかを考えない限り抜本的な解決はありません。

 まずは気軽に業務ステップを追加しないでください。どうしてもプロセスの追加が必要なときには「見る範囲」を決めてください。

 例えば、最初の承認者は書いてある内容や添付されている領収書の証跡に間違いがないのか、内容が一致しているのかどうかだけを確認する。

 次の承認者は、使用用途や場所に問題がないか、営業戦略の観点から取引先や金額が正当かを確認する。このように「見る範囲」をしっかりと決めると、判断をできる人が明確になります。そうすると、責任とその範囲が明確になるのです。

 このような形で承認プロセスを作ると少ない承認者できちんと統制できるようになります。

 その上で、もう一歩踏み込んで考えていただきたいのが最初の承認者が行っている作業です。

 このステップは単純な照合作業に過ぎません。これは人間がやるよりもロボットのほうが圧倒的に得意な仕事です。RPAを使っても良いでしょうし、Excelなどをプロセスに追加すれば簡単な関数で処理が完了します。

 人間は感情の生き物です。悲しいことがあったり、眠たかったり、逆にテンションが上がっていると集中力が散漫になるのです。だからこそ、思考停止で業務を増やさないでください!

 仕組みで解決をはかりましょう。


  • ミスのたびに増えるダブルチェック
  • 意味のわからない承認行為(有給・経費・見積)

思考停止のプロセス増加をやめる

増やす場合は「見る範囲」を決める

この記事は、『無くせる会社のムダ作業100個まとめてみた』(元山文菜/クロスメディア・パブリッシング)に掲載された内容に、編集を加えて転載したものです。


著者プロフィール:元山文菜

 株式会社リビカル代表取締役。業務コンサルタント。

 大学卒業後、株式会社サクラクレパスに入社。その後、富士通株式会社に転職。2017年に独立し、現在の株式会社リビカルを設立。2021年11月(株)医療デザインラボ代表。医療に特化した業務コンサル会社を設立。障がいや難病女性向けのNPO運営の顔ももつ。

 「多様性×業務改善で、はたらくを楽しむ人を増やしたい」をテーマに、業務や組織構造の再設計を手がける。個人や企業にとっての「価値ある時間の創出」「経営資源の拡大」を支援。これまで、DX推進、BPR(ビジネスプロセスリエンジニアリング)、BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)やRPA導入支援と、個々人に対する時間管理術の改善をあわせて実施することで、組織への生産性を最適な手段で向上させる。そのほか、業務プロセス改善、タイムマネジメント、ダイバーシティマネジメントをテーマにした講演活動も精力的におこなっている。


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