「幸せ」に働く若手社会人に共通する特徴とは?(2/3 ページ)

» 2024年01月19日 08時00分 公開
[砂川和泉ITmedia]

5つの学び方につながる仕事経験

 次に、どのような仕事上の経験が幸せな活躍につながる5つの学び方と関連しているかを見てみよう。これらの学び方と関連していた仕事経験には、大きく3つのポイントがある(図3)。

図3:5つの学び方に関連する社会人の仕事経験(出所:パーソル総合研究所・ベネッセ教育総合研究所・中原淳「若年就業者のウェルビーイングと学びに関する定量調査」)

※統計的な分析の結果、2つ以上の学び方に有意に関係するものを抜粋
※「ソーシャル・ラーニング」:人を巻き込んで学ぶ、「ラーニング・レジリエンス」:困難な事からこそ学ぶ、「ラーニング・ブリッジング」:いくつかの学びや経験を架橋する、「ラーニング・グリット」:一貫してコツコツ学び続ける、「ラーニング・デジタル」:デジタルツールを積極的に使う

 1つ目のポイントは「社外からの学び」を得ていることだ。取引先、顧客など会社の外の人とのコミュニケーションやそこからの気付きが、学びの幅を広げている。

 例えば、取引先とのやりとりの中では、いくつかの学びや経験を架橋する「ラーニング・ブリッジング」の習慣を身につけているようだ。また、困難な事からこそ学ぶ「ラーニング・レジリエンス」やデジタルツールを積極的に使う「ラーニング・デジタル」の学び方が、社外の人から気付きを得た経験で促進されている。

 社外の人とのやりとりにおいては、一筋縄ではいかない高い要求に向き合うこともあるだろう。そんな時、これまでの学びや経験を結び付けることで解決につなげたり、困難な事の中に学びが多いことに気付いたりして、その後もそうした学び方を実践するようになるのではないだろうか。

 また、デジタルツールの活用に関しては社内だとどうしても限定的な活用にとどまるため、社外の人と仕事を進めることで新たなデジタルツールに目を向けるきっかけになると考えられる。

 2つ目のポイントは「社内の人との関わり」だ。先輩や上司といった上の立場の人からの刺激だけでなく、後輩の育成や相談役をすることでも学び方の習得につながっている。

 後輩の指導には難しい局面が多々ある。そうした難しさに対峙することで困難な事からこそ学ぶ「ラーニング・レジリエンス」の習慣が養われると考えられる。さらに、年齢が若いほどデジタルツールへの感度が高い傾向があるため、後輩との関わりを通じてデジタルツールを活用する習慣を身につけることもある。

 また、見逃せないのが「転職者」からの気付きである。転職者が新たな職場で活躍するためには、分からないことを人に聞くことや、これまでコツコツと積み上げてきた自身の経験を自社の仕事に結び付けることが不可欠だ。そうした転職者の姿を見ることが、人を巻き込んで学ぶ「ソーシャル・ラーニング」やいくつかの学びや経験を架橋する「ラーニング・ブリッジング」、一貫してコツコツ学び続ける「ラーニング・グリット」の学び方を取り入れてみることにつながるのだろう。

 3つ目のポイントは「新たなアウトプット」である。新しいアイデアや企画の提案は、さまざまな学び方の習得を促進している。提案には、新しい情報やスキルの獲得、周囲の人に協力を仰ぐ、最先端のデジタルツールを取り入れるといったプロセスが含まれる。

 そのため、特に、人を巻き込んで学ぶ「ソーシャル・ラーニング」や一貫してコツコツ学び続ける「ラーニング・グリット」、デジタルツールを積極的に使う「ラーニング・デジタル」につながっている様子がうかがえる。

 これらの3つのポイントを概観していえることは、日頃の仕事の中で自分から一歩踏み出して積極的に他者と関わることが大切だということだ。また、企業側としては、社内外の人との関わりを奨励したり、新しいアイデアや企画を提案する機会を提供したりすることで従業員の幸せな活躍につながる学びを促すことができそうだ。

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