9200キロ先にアバター 2025年、見たことない世界示せるか(1/4 ページ)

» 2024年01月21日 09時00分 公開
[産経新聞]
産経新聞

 意思や感情を伝え合うコミュニケーションを進化させてきた人類の歴史。はるか遠の人が目の前に−。2025年大阪・関西万博では、近未来の技術が出現する。

 真っ暗な超高精細の巨大な画面。浮かび上がったのは、光り輝く「人間」の姿だ。「人間」はDJとなり、大音量の音楽とリズムにあわせて両手を挙げ、飛び跳ね始める。画面の前につめかけた聴衆もジャンプし、大歓声を上げる−。2023年9月、オーストリア北西部の都市、リンツで行われた“コンサート”の光景だ。

 「人間」を操り会場を支配していたのは、約9200キロ離れた東京にいるDJの 武藤将胤(まさたね)さん。「人間」は武藤さんのアバター(分身)だった。

 武藤さんはALS(筋萎縮性側索硬化症)で体が自由に動かない。体に装着されたセンサーにより感知された筋肉のわずかな動きを情報として送り込まれたアバターが、武藤さんの意思を“読解”。武藤さんが思い通り、アバターをリアルタイムで操ることを可能にした。

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