厚生労働省が発表している「国民健康・栄養調査」によると、成人男性の喫煙率は19年(令和元年)時点で27.1%、成人女性は7.6%、男女合わせて16.7%。喫煙者は圧倒的に少数になっている。1989年(平成元年)には男性で5割を超えていた喫煙者が、大幅に減ってしまった。女性の喫煙者は1割未満(同年)、それがさらに少なくなっている。
喫煙者の割合(出典:厚生労働省)
そんな中で新幹線や特急の指定席は禁煙車から売れていくようになり、鉄道各社は禁煙車を増加させた。喫煙者でもない限り、喫煙可能な車両に乗ろうという人は減っていた。いや、タバコを吸う人の中にも「喫煙車両は空気が悪いので、自分は乗らない」といった人もいたほどだ。
禁煙車ばかりに利用者が集中するようになり、全席禁煙にする鉄道会社も現れた。特に熱心だったのはJR九州で、次いでJR東日本も全席禁煙を増やしている。
特急「ひのとり」の座席(出典:近畿日本鉄道)
2003年5月1日には「健康増進法」が施行され、受動喫煙防止の努力規定が盛り込まれた。さらに20年4月1日には「改正健康増進法」が全面施行。屋内が全面禁煙となった。東京都や千葉県では「受動喫煙防止条例」を制定し、厳しい規制を設けている。
こうした状況と前後して、鉄道車内や駅構内の喫煙設備は縮小。喫煙に対する法的規制が厳しくなった影響があったのかどうかは分からないが、喫煙者が減っていった。
列車内でタバコが吸えなくなったのは、こうした状況もあるのだろう。しかし鉄道の営業面でも、喫煙者に対応するのはコストがかかるのである。
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