喫煙車には灰皿が備えられており、ひんぱんに掃除をする必要がある。国鉄時代に特急は2席に1つ、急行は4人1ボックスに1つというケースが多かったが、車両をリニューアルしたり新車を導入したりする際には、ひじ掛け内に灰皿を備えるケースが多くなっていった。灰皿は個々に備えられるようになったが、その分こまめに清掃しなければならない状態になった。
特急列車では、折り返しの際に車内清掃を行う。車内清掃の際に、小さな灰皿にいちいち対応するのが、大きな手間となっていった。特に東北・上越方面の新幹線は、車内清掃の時間が短いため、灰皿清掃の時間が問題となる。東海道・山陽・九州新幹線のように喫煙ルームに集約しても同様の問題は残る。
また列車に喫煙車があることで、喫煙しない乗務員や車内販売員が車内を行き来する際の受動喫煙の問題も出てくる。煙は上に向かうため、乗務員や車内販売員の顔のあたりはもくもくとした状態になっているのだ。こういった人たちの労働環境を守る必要もある。
清掃関連の手間、そこから発生するコストも無視できないようになり、乗務員や車内販売員、清掃員の労働環境の向上も重視されるようになった。清掃員も車内販売員も人手不足であり、車内販売に至っては大幅に縮小されるようになってしまった。
こういった現状に対して、鉄道会社は対応する必要がある。その結果が、全車禁煙、喫煙ルームの廃止である。
新幹線にせよ近鉄特急にせよ、いままで喫煙者のために設備を残してきたことが“時代遅れ”とも受け取れる。たとえ喫煙ルームで「隔離」したとしても、空気を清浄するための設備などは必要である。
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