では、南エリアはどうだったのか。配布前後で、客数はほぼ同じ。チラシを配る前に「線路を越えて、お店に来るのはちょっとハードルが高いのではないか」と予測していたので、その通りの結果となった。
最後に、北東エリアはどうだったのか。3エリアの中で最も高い20%の伸びを示したのだ。この数字について、橋本さんはこのように見ている。
「吉祥寺の北側は飲食店がものすごく多いので、その中から選んでもらわなければいけません。北東エリアに住んでいる人にとって『俺のイタリアン 吉祥寺店』はわざわざ足を運ばなければいけないところ。
たくさんの店が並んでいるところを越えていかなければいけないので、なにかの“きっかけ”が必要になるかなと思いまして、チラシにクーポン(デザート盛り合わせ無料など)を付けました。3エリアともクーポンを付けたのですが、『ちょっと行ってみるか』と感じたのは北東エリアの人が多かったのかもしれません」
チラシを配る前後で、客数が「13〜15%伸びた」「20%も増えた」といった数字を見ても、ピンとこない人も多いかもしれない。一般的に、ポスティングの反応率はどのくらいなのか。業界的には0.01%〜0.3%と言われている中で、吉祥寺店がチラシに掲載したクーポンを回収したのは、なんと2.8%。
ポスティングを手掛けたアト社(東京都千代田区)によると「クーポン付きのチラシの場合、反応率は2%でも高い」そうなので、3%近い数字は業界関係者から見ても、「ものすごく高い」という印象を受けるそうだ。
ちなみに、吉祥寺店はアト社に依頼する前、地元のフリーペーパーを使ってチラシを配っていた。しかし、結果はいまひとつ。このとき対象エリアを広く設定していて、「たくさんの人に来てもらおう」という狙いがあったそうだが、店からちょっと遠すぎたのかもしれない。フリーペーパーでの反省を生かして、今回は対象エリアを絞りに絞った。アト社の担当者も「ターゲットエリアを狭くしたことによって、集客につながったのではないか」と見ている。
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