先述の通り、大手企業においては昇給が実施される一方、下請け的な立場になりがちな中小企業においては、昨今の最低賃金の急速な上昇に対応するのが精いっぱいで、ベースアップとなると厳しい状態にあります。
ただ、このあたりは、政府や労働組合はもちろん、大手企業で構成される経団連(日本経済団体連合会)においても課題と捉えられており、原材料や人件費などの価格転嫁を推進することが重要だという考えを示しています。
中小企業は、この機運を上手く生かしながら、価格転嫁を進めていく必要があります。
また人件費の増加に対する支援策として「賃上げ促進税制」があります。「賃上げ促進税制」は給与などを増加させた場合に、その増加額の一部を法人税(個人事業主は所得税)から税額控除できる制度ですが、控除率引き上げや要件の簡素化など拡充されています。
合わせて、根本的な取り組みは、商品やサービスの価値を上げて、競争力を高めることにあります。中小企業は大手に比べて教育に投資ができず、人材育成が十分でないという弱点がありますが、助成金を上手く活用しながら、進めていきましょう。
新たに創設された、人材開発支援助成金「事業展開等リスキリング支援コース」は、以下の取り組みについて訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を高率助成により支援する制度です。
特に、厚生労働省の助成金は中小企業により手厚い支援がされるように設計されています。上手く活用しながら人材育成に挑戦していくことは、人件費高騰時代を生き抜く一つの手段になります。
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