「色変わり」を軸としたデコットシリーズは第三弾の製作も予定しており、第二弾は店頭在庫がなくなり次第、完売となる。白抜きも色変わりも同じくらい売れ行きが良く、デコット3の色展開を検討しているところだという。
近年流行する文房具は、持っていて気分が上がる「モチベーションアップ」がキーワードになっているのではないかと大杉氏。
「私たちの学生時代は文房具に消耗品のイメージがあり、低価格の商品を選ぶ傾向がありました。ですが、現在の学生は機能性や新規性、人が持っていない特別感を重視する傾向があるように思います。文房具が一つのステータスになっていて、高級な商品も売れるのだろうと」
例えば、三菱鉛筆が発売している高級シャーペン「KURUTOGA DIVE(クルトガ ダイブ)」(希望小売価格5500円)は、芯が回ってトガり続け自動で芯が繰り出される世界初のシャープペンで、中高生を中心に高い支持を得ている。
ぺんてるでは、0.2ミリの極細芯も折れないオレンズシステムに、自動芯出し機構も搭載した「orenznero(オレンズネロ)」(同3300円)を展開。全国の販売実績データを収集した日経POSの「月間のシャープペンシル売れ筋ランキング」(23年8月)で1位を獲得した実績も。
サンスター文具では、削らずに16キロも書き続けられる「metacil(メタシル)」(同990円)が学生のみならず幅広い層に人気だ。黒鉛と金属を含んだ特殊芯でつくられた同商品は、鉛筆のように消しゴムで消すこともできる。より芯の色を濃くした小学生向けの「metacil school(メタシルスクール)」(同330円)も好調のようだ。
国内の文具市場は、DXによるペーパーレス化や少子化などにより縮小傾向にある。矢野経済研究所の調査によれば、21年度の国内文具・事務用品市場規模は、前年度比2.0%減の3996億円だった。一方、分野別で見ると筆記具市場は同3.7%増の約820億円となる。デジタル全盛期だからこそ、「手書き」の良さが見直されている風潮もあるようだ。
「新商品はアイデア重視。トレンドを踏まえつつ、他社と差別化できる商品でなければいけない」と大杉氏。今後も、文具メーカー各社の技術追求は続きそうだ。
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