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アルペン、データ経営シフトの内製化 「Excel熟練者が頑張る」レガシーなデータ分析と決別

» 2024年02月20日 18時30分 公開
[西田めぐみITmedia]

 DX推進の障壁となる要素はいくつかある。代表的なのはIT人材不足だ。労働人口が減少し続ける中で、DX推進を担える人材、加えて推進者が立てた戦略を実行できる人材の確保はどの企業でも課題になっている。また経営陣のIT理解が足りていないという問題を抱えるケースもある。組織風土からシステム基盤まで、既存のレガシーを刷新するためには経営陣の意思決定が欠かせない。

 これらの障壁を現場から壊していくのは簡単ではない。どのように戦略を立て、策を講じればいいだろうか。参考にしたいのが、ITmedia主催のオンラインイベント「デジタル戦略EXPO」(2月25日まで)に登壇したアルペンの事例だ。「経営とIT戦略」カテゴリーで基調講演を務めた蒲山雅文氏(アルペン 執行役員 デジタル本部長 兼 情報システム部長)は、「アルペンは現在、IT人材が不足する中で外部の支援をほとんど借りずにデータ経営へシフトしている」と語る。

 アルペンはゴルフ用品、アウトドア用品、その他各種スポーツ用品の開発と販売を手掛け、全国に400店舗を展開している。蒲山氏は「小売業は業界の変化が非常に速い。追従するには、システムを完全内製開発できる体制が必要だ」と話す。

 しかしアルペンは95%以上が新卒入社で、かつ入社後は全員、店舗配属になるという文化がある。本社に勤務する情報システム部門のメンバーも、入社してから3〜10年は現場で店舗運営のノウハウを学び、そこから異動してきた人材だ。ITに関する専門知識を養う機会は少なく、外部からIT人材を中途採用する例もあまりない。

photo アルペン 執行役員 デジタル本部長 兼 情報システム部長を務める蒲山雅文氏

 そのような環境で内製化を進めるにあたり「最もネックになるのは膨大なデータ量だ」と蒲山氏は言う。総合スポーツショップを標ぼうしているため取り扱い品番は非常に多い。SKUベースで1000万を超える商品を扱っており、同社ではデータの劣化やコスト増が課題になっていた。

※Stock Keeping Unit(ストック・キーピング・ユニット)の略。受発注や在庫管理における最小の管理単位のこと

 蒲山氏が同社にジョインしたのは2019年。同氏は「IT(システム)の全体像は何十年と変化がない状態で、データ活用においては仕組みも組織も停滞気味だった」と当時を振り返る。発注や購買、在庫などに関する大量のデータはレガシーシステムで処理されており「各部門に顕在するExcelの熟練者たちが、大量のシートにデータを書き出しては毎週、超大作とも呼べるようなレポートを作成。経営陣に提出する習慣があった」(蒲山氏)。

 蒲山氏は、このような状態を課題視して脱レガシーを目指した。第一ステップとして着手したのは、経営陣との合意形成だ。「IT基盤は高いお金をかけて外部に作ってもらうもの」という認識を持つ経営陣に内製化の重要性を理解してもらうため、同氏が踏んだステップとは? アルペンの改革の全容は、デジタル戦略EXPOに登壇した蒲山氏の基調講演でチェックしてほしい。デジタル戦略EXPOは、2月25日まで無料で視聴できる。

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