となると、残る利益アップの道は「効率化」しかない。
ムダを省いて、原材料費や運送費などの経費を見直して削減していく。そういう動きの中で、大企業の取引先である中小企業は、競合との価格競争などで、よりシビアな条件を求められる。
では、独自の優位性や資本力がない中小企業はどうやって「価格競争」をしていくかというと、固定費を削るしかない。最も手を付けやすいのが、人件費であることは言うまでもない。つまり、大企業が春闘やらで賃上げを加速すればするほど、競争力のない中小企業に対して、「生き残るために人件費も抑える」という「賃下げ圧力」が強まる傾向があるのだ。
どうすればこの悪循環を断ち切ることができるのか。筆者は3年前からたびたび提言しているが、多くの国がやっているように、日本も中央政府や自治体が物価上昇幅に合わせて、段階的に最低賃金を引き上げていくべきだ。
例えば、米国では2024年1月に全米50州のうち22州が物価高を受けて最低賃金を引き上げた。ベトナムも7月1日から約6%引き上げる予定だ。
しかし、日本政府や日本の経済の専門家は「最低賃金を引き上げると倒産が増えて失業者が街にあふれる」という世界的にもかなり独特の思想を持っているので、実行される可能性は低い。
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