つまり、政党交付金の時のように「日本経済復活のためには、中小企業に賃上げをしてもらう環境づくりをしないといけません。だから、国民がコーヒー1杯分、500円を我慢して中小企業を支えましょう」とか言い出して、「中小企業支援金」などの名目でカネを徴収されていくのだ。
「そんなバカな話があるわけがないだろ!」と思うかもしれないが、われわれは既に似たような術中にハマっている。
「異次元の少子化対策」とやらで、われわれは28年度時点で医療保険の加入者1人当たり月平均500円弱の「支援金」を徴収される。子どもを産み育てることに魅力を感じられない社会をつくってきた政治の責任を棚上げして、国民にタカってきているのだ。
日本経済の低迷も実は政治の責任が重い。世界では中小企業=ベンチャーの位置付けで競争を促進させてきた。起業した会社の多くがバタバタと倒産する中で、テスラやGAFAのような巨大企業に成長するプレーヤーが育つ。
しかし日本の場合、自民党が中小企業経営者団体「日本商工会議所」の選挙支援を受けている関係で、「中小企業を倒産させてはならぬ」という世界的にもまれな保護政策が行われてきた。それが産業の新陳代謝を阻害して、経済を停滞させてしまった。
これまでのパターンからすると、政治の責任を棚上げにして、最終的には国民の「がんばり」で乗り切ろうとするはずだ。「お上」という言葉があるように、権力者に羊のように従順なのは、日本人の美徳でもあるが、この「政府のタカり癖」だけはそろそろ本気で怒ったほうがいい。
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。窪田順生のYouTube『地下メンタリーチャンネル』
近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受
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