リテール大革命

「そごう・西武」アジアに増える巨大店舗 大苦戦する国内と何が違うのか?(5/5 ページ)

» 2024年02月26日 07時30分 公開
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日本の百貨店との一番の違いは?

 海外の「そごう・西武」は、出店方式こそかつての日本の大手百貨店を彷彿(ほうふつ)とさせるとはいえ、その店づくり自体も同じかというとそうではない。

 海外進出から20年以上を経て、「そごう・西武」をFC展開するいずれの海外企業も「日系百貨店」であることをアピールする一方で「店舗の現地化」を進めている。そうした「そごう・西武」のFC店舗では、ブランドや百貨店向け化粧品など高級品を販売する売り場の充実を図りつつも、日系ブランドを中心にファストファッション、家電量販店、スマホショップ、均一ショップ、中古ショップ、アニメショップ、ゲームセンター、シネマコンプレックス、格安のフードコート、スーパーマーケットなどといった、「幅広い世代が楽しめ、日常使いにもハレの日にも対応する多様な専門店」を導入している店が多くみられる。

 それゆえ、日本の百貨店よりも客層が若く、「百貨店+ファッションビル+ショッピングセンターのいいとこどり」といった雰囲気の店舗が多いことも特徴。今回紹介した3つの新百貨店も、いずれも若者・ファミリー世代向けの商業テナントや体験型施設、映画館などが同じ建物内に設けられる計画だ。

 このように幅広い層をターゲットとしたそごう・西武の店舗はアジア各地でみられる一方で、近年開業したインドネシアやマレーシアのそごう・西武の店舗(特に「西武百貨店として運営されている店舗」)では、そごう・西武自体が「郊外型ショッピングセンターを『高品質化して差別化を図る』ための核店舗」として入居しているものもみられる。

 そうした「ショッピングセンターの核店舗」となっている店舗では、幅広い集客を目指す店舗の導入はショッピングセンター側に任せる一方で「そごう・西武=高品質のものをそろえる高級日系百貨店」として、現地富裕層、さらには外国人観光客の人気を集めている例もある。

台中・廣三そごうのフロア案内。そごう・西武の海外店舗では「高級ブランド」と「(日本では)ショッピングセンターでお馴染みのテナント」が同じ建物内に同居する例が多い。営業時間も多くが22時前後までだ

 日本がまいた「そごう・西武」の種は、アジア各地で成長し、進化を遂げ、併せて32店舗(今回取り上げた開店予定の店舗を含まず)の海外店舗を擁する一大百貨店グループとして現地に根付くことになった。今やその半分以上が、そごう・西武の資本を離れたあとに現地法人が開業させた店舗となっている。

 海外で「そごう・西武」の店舗に入店した際には、一味違う魅力で人気を集める日本生まれの百貨店の「勢い」を感じられるかもしれない。

参考ウェブサイト・出典

遠東集団(台湾)

遠東SOGO(台湾)

台中高鐵娛樂購物城(台湾)

廣三SOGO(台湾)

香港SOGO(香港)

利福国際集団(香港)

The Exchange TRX(マレーシア)(西武百貨店が出店する建物)

マレーシアSOGO(クアラルンプールそごう)(マレーシア)

海外店舗との連携強化を目指して/香港SOGOで日本との共通企画を実施(そごう・西武ニュースリリース


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