2カ月は「働かずに勉強に専念」 KDDI流・本気のDX人材育成法(2/3 ページ)

» 2024年03月04日 10時00分 公開
[仲奈々ITmedia]

2カ月は「勉強だけ」 KDDI流・DX人材の育成

 KDUには具体的にどんなカリキュラムがあるのだろうか。KDDIでは現在、先に述べた5つの領域を職種別に学ぶ「一般コース」、そしてビジネスディベロップメントに特化した「注力育成コース」の2種類のコースを設けている。一般コースの受講は直属の上司の承認が下りれば受講できるが、注力育成コースはKDDI内各事業本部の役員の承認がないと受講できない、入学難易度の高いコースなのだそう。

 「20年8月にKDUがスタートしてから、一般コースの受講者数は現役生も含めて674人に上りました(24年度3月末時点)。一方、半期に10人しか採用しない注力育成コースの受講者数は、現在80人です」(柳沢さん)

(写真はイメージ、提供:ゲッティイメージズ)

 社員数4万人を超えるKDDIの中で、まだ80人しか受講していない注力育成コース。DX関連のプロジェクトをリードする人材を育成していくために作られたそうだ。

 採用されたら、まず約2カ月間は業務から離れてDX関連知識を集中的にインプット。その後は全社横断のDX案件プロジェクトに参加し、約7カ月のOJTを行い、実践スキルを身に付ける。つまり注力育成コースでは、約9カ月もの間研修を行う。しかもその間は本業務からは離れて、DX知識の習得に集中するのだと言う。まずはDX業務に必要なスキルを短期集中でインプットし、その後実際のプロジェクトで学びをアウトプットすることで、実践的なスキルを身につけていくのだ。

 営業推進業務や直営店勤務といったDXとは直接関係のない仕事に従事していた社員が、注力育成コースに採用された例もある。「その社員は、KDUを受講後、現在はメタバース上に実店舗空間を再現したバーチャル店舗において、顧客体験価値の設計のリードを行っています」(人財開発部・木村さん)

 他の注力育成コース卒業生も、DX関連プロジェクトをリードし、さまざまなフィールドで活躍している。

 卒業生たちからは「時間をかけて体系的に学ぶことができてためになった」「ただ知識をインプットするだけでなく、OJTを通じて実践的なスキルを習得できるため、実際の配属された現場でも役立つことが多い」と高い評価を得ているそうだ。

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