なぜ珍味のフォアグラを再現? 日本ハムが鶏レバーから「グラフォア」を開発した理由50回の試作でフォアグラらしさを追求(2/6 ページ)

» 2024年03月07日 08時30分 公開
[鬼頭勇大ITmedia]

若手が対象の「開発甲子園」から誕生

 グラフォアは鶏レバーを基にしてフォアグラのうまみやくちどけを再現した商品だ。家庭向けにはソース付きの4個セット(3218円)と、バンズやパティも入ったハンバーガーキット(5378円)、さらに鴨むね肉とのセット(同)を販売している。

グラフォア入りアンガス牛のハンバーガーキット

 グラフォアは、社内でアイデアを募る取り組み「開発甲子園」から生まれた。甲子園の名の通り、自薦他薦によりエントリーした若手研究員が磨き上げたアイデアで“予選”を勝ち抜いていき、最終的に経営陣ら20人の前でプレゼンと試食の提供を行うアイデアコンテストだ。

 “決勝”では社長を筆頭に役員や部長クラス、グループ会社のトップなど20〜30人が審査員を務め「コンセプト」「味」「開発者の思い」「売れる商品になりそうか」といった観点から審査を行うという。優勝した社員には優勝旗が贈られ、翌年には返還も行うなどイベントとして非常に凝った取り組みになっている。

 開発甲子園が始まったのは18年。現在も継続して行っており、グラフォアは22年に準優勝したアイデアだ。発案者はハム・ソーセージ研究開発課に所属する上野瑞城氏。発案のきっかけとなったのは、冒頭で紹介したようなフォアグラへの逆風と、フードロスだった。上野氏のプレゼンについて、高崎氏は「動物愛護や強制給餌(きゅうじ)への問題視といった点にフォーカスしており、非常に強い思いを持っていることが印象的でした」と振り返る。

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