なぜ珍味のフォアグラを再現? 日本ハムが鶏レバーから「グラフォア」を開発した理由50回の試作でフォアグラらしさを追求(4/6 ページ)

» 2024年03月07日 08時30分 公開
[鬼頭勇大ITmedia]

50回の試作でフォアグラらしさを追求

 日本ハムとして、サステナビリティに関する事業に注力しているタイミングだったことも商品化を後押しした。

 同社は21年に「ニッポンハムグループ Vision2030」を発表。従来提供してきた価値である「安全・安心」「おいしさ」に加えて、自由な発想でたんぱく質の可能性を広げるとしている。

 加えて「エンタメ」「ウエルネス」「サステナブル」の3軸で新規事業を展開しており、そのうちサステナブル事業とまるでフォアグラの相性が良いことから、商品化が進んでいった。

 商品化に当たっては、フランス料理のシェフ経験がある、デリ商品研究開発課の塚本真士氏をアサイン。1年ほどで50回もの改良を繰り返したという。中でも苦労したのが、フォアグラならではのくちどけや形状だ。もともとハムやソーセージで培った技術はあったものの、フォアグラ特有の食感などを再現するために試作を繰り返した。

 その他、フォアグラを再現したグラフォアだけでなく、合わせるソースも開発するなどこだわった。最終的な名称となったグラフォアは「フォアグラの常識を覆す」というコンセプトを基に考案したという。

 筆者は取材時にグラフォアを試食したところ、実際のフォアグラと比較して独特の臭みが抑えられていると感じた。くちどけや風味は「完全にフォアグラ」とまではいわないものの、再現度が高く、特に付属のソースをつけるとフォアグラらしさが増すように思えた。

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