──社外に開示している指標についても、あえて数値目標を示していないのでしょうか。例えば『Talent Forward Strategy 2024』には「評価面談や1on1において、上長から良い点と改善すべき点に関するフィードバックが得られている」のスコアが5点満点で4.2だと記載されていますが、何点を目指すとは書かれていませんね。
石原さん: 「4.5にします」みたいな目標を掲げてしまうと、社員も「良い回答をしなければいけないのか」みたいなプレッシャーを感じてしまうかもしれないので、あまり明確に書くことはしていないですね。4.2を4.5にすることに労力をかけるよりは、もっとやることがあるとも思いますし。
──その中でも、このスコアはもう少し伸ばしたい、と考えられていることがあれば教えてください。
石原さん: ひとつ明確に目標値を出しているのが、男女のジェンダーギャップに関する指標です。
「私は、今よりも大きな責任を担う業務や役割をオファーされたらやってみたいと思う」という指標のスコアが、一昨年の8月の時点で男性4.2、女性3.8と差がありました。全員が5をつけるのは難しいでしょうが、男女関係なく4以上になると良いと考えています。
女性の管理職を増やしたりジェンダーギャップを減らすために、この指標に対して明確な目標設定をして改善していくことは、すごく意味があると思っています。
──具体的にはどのような対策を打っていくのですか?
石原さん: 例えば、無意識のバイアスは誰しも持っているものですよ、といった基本的な内容の研修をしています。また、家庭の事情がある女性だとどうしても「自分にできるのかな」という不安を抱きがちなので、実際に管理職をやっているメンバーから話を聞ける座談会を設定したり、育休から戻ってくる人の多い5月頃にその人たちと先輩社員とで話す会を設けたりしています。
あとは「産休育休ガイドブック」というものを出しています。その中では産休・育休を安心して取っていいし、戻ってきたらまた活躍できるんだということをリアリティーをもって理解してもらえるように、いろいろなエピソードやメンバーのインタビューなども盛り込んでいます。
こういったことで、直近の数値は少し改善したのですが、たぶん一進一退するものだと思います。今後も継続的に取り組んでいくつもりです。
──ありがとうございます。次回は人の成長を後押しする1on1の実践や、マネジメントスキル育成の取り組みについてお伺いします。
コクヨ、ベネッセコーポレーションで11年間勤務後、独立。2013年より組織に所属する個人の新しい働き方、暮らし方の取材を開始。『くらしと仕事』編集長(2016〜2018)。「Yahoo!ニュース エキスパート」オーサー。各種Webメディアで働き方、組織、イノベーションなどをテーマとした記事を執筆中。著書に『本気で社員を幸せにする会社』(2019年、日本実業出版社)。
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