マネフォの「5年後売上高1000億円」が、それほど難しくなさそうな理由すでに売上高はSaaS業界でトップクラス(1/2 ページ)

» 2024年01月22日 08時00分 公開
[斎藤健二ITmedia]

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 マネーフォワードは1月12日、2028年11月期に売上高1000億円超、EBITDA(税払い前、税引き前、減価償却費前利益)300億円超を目指すという中期の業績目標を明らかにした。直近の2年間を積極投資フェーズとし、22年11月期はEBITDAで60.3億円の赤字となったが、この間蓄えた成長力を生かし、今後5年間で本業の現金を稼ぐ力を表すEBITDAを300億円規模に伸ばす。営業利益も200億円規模となる想定だ。

【お詫びと訂正:2024年1月22日11時37分 初出で「22年11月期はEBITDAで6029億円の赤字となった」としておりましたが、正しくは「22年11月期はEBITDAで60.3億円の赤字となった」でした。お詫びして訂正いたします。】

5年後、売上高1000億円、EBITDA300億円という中期目標を明かしたマネーフォワード。このタイミングでの営業利益は200億円前後となる見通しだ(決算説明会資料より)

 「(24年11月期の)EBITA黒字化の蓋然性(がいぜんせい)が高まったので、その先の中期の方針を示したい」と辻庸介社長は1月12日の決算説明会で話した。決算発表直後の営業日となる1月15日は、株価が一時ストップ高となるなど、直近の好決算と今後の計画を市場も高評価で受け止めた。

EBITDA大幅赤字でも成長を優先 マネフォの戦略

 この目標は、マネーフォワードの3度目となる中期目標だといえるだろう。国内SaaS企業としては最初期にあたる17年に上場した同社は、21年11月期でのEBITDA黒字化をコミットしていた。その約束通り、4.3億円の黒字化を果たした22年1月、再び投資のアクセルを踏むという2度目となる中期目標を発表した。

 継続的に30〜40%の売り上げ成長を実現させるために、人員や広告宣伝費に投資。EBITDAを大きく赤字にさせながらも、成長を優先する。「赤字はほとんど広告宣伝費。黒字化はやろうと思えばいつでもできる。そこは経営の意思だ。中長期の企業価値最大化が優先すべき目標。短期的な黒字赤字にこだわらず、その目標に向けてやっていく」(辻氏・22年1月の決算発表にて)

EBITDAの推移。広告費を除くEBITDAは直近5四半期黒字を継続している(決算説明会資料より)

 結果、1年目の22年11月期は、SaaS ARR(継続的な収益の年換算)が45%増、売上高は37%増加と高成長を実現。2年目の23年11月期はARR42%増、売上高41%増と、この規模の企業としては驚くべき高成長を継続させた。

 EBITDAも、22年11月期は60億円の赤字まで落ち込んだが、23年11月期は22億円まで赤字幅が縮小している。24年11月期は、ARRで30〜37%増、売上高で30〜38%増を目指し、EBITDAも10〜30億円の黒字とする計画だ。

 すでに生産性を意識した運営にシフトしてきており、直近の第4四半期では「広告宣伝費を除くEBITDAは、11.7億円と過去最大」(金坂直哉CFO)と、EBITDA黒字化に向けた道筋は付きつつある。

 成長の柱は売り上げ全体の約6割を占める法人向けSaaSだ。他の事業部門も20%以上の高成長を継続してきたが、法人向けSaaSの成長は群を抜いている。直近四半期では法人ARRは46%成長、売上高も47%増加した。

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