「イトーヨーカドー」の大量閉店が話題になっている。
かつては総合スーパーの代名詞というほど隆盛を極めた同店が、なぜここまで追い詰められてしまったのか。既に多くの専門家やメディアが分析をしているが、その中でよく言われているのは、「2階以上がもうからない」ということだ。食料品はそれなりに売れているのだが、粗利率の高い衣料品や日用雑貨などが苦戦しているのだ。
これは近所にイトーヨーカドーがある人はよく分かるだろう。夕方になると食料品フロアは混雑しているのだが、2〜3階に上がると売場はガランとしていることがよくある。
今や衣料品を買おうと思ったら、ユニクロ、ジーユー、ワークマン、H&M、しまむら、西松屋などニーズに合わせた選択肢が山ほどある。日用雑貨もしかりで、ダイソーなど100円ショップからウエルシアのようなスーパー的なドラッグストア、カインズのようなホームセンターまで多種多様な店舗があふれている。そんな中でわざわざイトーヨーカドーで服を買いそろえ、日用雑貨を買う客は多くない。
もちろん、そこには「立地戦略のミス」も大きく影響する。例えば、イトーヨーカドーと同じく衣料品事業にも力を入れている「ライフ」は、東京・大阪という都市部に出店を「集中」している。都市部は自転車や徒歩で移動する人が多いので近所にユニクロやダイソーがない人たちはライフで食料品を買いながら、2階の衣料品コーナーで服を買い、日用雑貨を購入するという消費行動パターンが生まれる。
しかしイトーヨーカドーの場合、全国展開している関係でユニクロやニトリ、大手ドラッグストアが軒を並べる国道沿い店舗も少なくなかった。そのため「2階以上がもうからない現象」が全国のイトーヨーカドーにウイルスのように広がり、今回の大量閉店となったというワケだ。
ただ、これらはあくまで「結果」であって「原因」ではない。イトーヨーカドーに「2階以上がもうからない」「立地戦略のミス」という状況を引き起こした本質的な問題は別にある、と個人的には考えている。
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