人工知能(AI)スタートアップの流入により、欧州で人材争奪戦が激化している。欧州に拠点を置く米Alphabet傘下のGoogle DeepMind(グーグル・ディープマインド)のような企業は、多額の報酬を支払うか、地域の優秀な人材を失うかの岐路に立たされている。
米OpenAIの対話型AI「ChatGPT」の大成功は投資家に活力を与え、投資家は次に大化けする企業を発掘しようと、有望なAI新興企業に資金を注ぎ込んでいる。
この投資の波に乗り、カナダのCohere(コーヒア)、米Anthropic(アンソロピック)、OpenAIなど、海外のAI企業が昨年、欧州にオフィスを開設。従来この地域で人材を獲得、維持してきたハイテク企業にプレッシャーをかけている。
2010年に設立し、14年にGoogleに買収された英ロンドンを拠点とするDeepMindは、ボードゲームから構造生物学まで、あらゆるものにAIを適用してその名をはせた。現在、同社は、資金力のあるライバル企業の相次ぐ参入に直面している。
最近では、共同創業者のムスタファ・スレイマン氏が、米LinkedIn創業者の富豪リード・ホフマン氏とともに、米カリフォルニアを拠点とするInflection AI(インフレクションAI)を設立。DeepMind出身のアーサー・メンシュ氏は仏Mistral AI(ミストラルAI)のCEOとなった。両社とも、設立から間もないが数十億ドルの評価を受けている。
この問題に詳しい情報筋によると、DeepMindは24年初め、一握りの上級研究員に数百万ドル相当の譲渡制限付き株式を与えたという。
同社の広報担当者はロイター通信の取材に「競争の激しい分野であることは確かだ」と述べ、「才能ある人材の獲得と育成に引き続き取り組んでいる」と付け加えた。
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