アップルはなぜ「自動運転EV」の開発を終了したのか 考えられる理由は3つある高根英幸 「クルマのミライ」(4/5 ページ)

» 2024年03月22日 08時00分 公開
[高根英幸ITmedia]

途方もない時間とコストがかかる

 繰り返すが、EVを作るのはハードルが低いという見方をする報道もあるが、それは入り口レベルの話だ。しかも自動運転となると、まったく話は別だ。そもそも自動運転と相性がいいことでEVをベースにする前提となっているが、自動運転とEVでは求められる技術レベルがまるで違う。

日本でも自動運転技術を開発しているベンチャーはいくつもある。写真はヤマハの電動ゴルフカートをベースにした自動運転車

 自動運転の実現には、途方もない時間とコストがかかる。テスラはその開発の一端をユーザーに託すことで効率よく開発スピードを高める戦略を採ったが、いまだに完全自動運転は実現していない。

 グーグルが撤退したのは、「自社でハードウェアとソフトウェアを用意するのはリスクが高すぎる」ということが大きい。低速で走る自動運転車の実現には見通しがついても、それがコストに見合う価格で販売され、ユーザーに受け入れられるとは限らない。ダイソンが撤退したのも、全く同じ理由なのだ。

 アップルはパーソナルなモビリティとしてプレミアム性を高めたものを提供しようとしていたのだろうが、自動運転の実現にはまだ膨大な時間がかかると判断して、一時撤退を決めた。これが2つ目の理由だ。

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