障害者雇用も「ちゃんと稼ぐ」 DMMの専門組織「BC部」が黒字を実現できたワケ(3/3 ページ)

» 2024年03月29日 09時00分 公開
[大村果歩ITmedia]
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障害者雇用も「ちゃんと稼ぐ」 黒字実現のワケ

 同社では「障害者雇用もちゃんと稼ぐ」ことを重視している。実際、22年・23年は人件費と販管費を上回る売り上げを上げ、黒字化を達成した。18〜23年度の年平均成長率(CAGR)は7.05%、23年度の売上昨対比は131%と、高い成長率を誇る。

 DMMの組織風土に広く浸透している“DMMらしさ”を言語化した5つのエッセンス「DMM.ESSENCE」の一つに「ちゃんと稼ぐこと」がある。障害者雇用部門でも成績が分かるようになっており、常に黒字化は意識してきたという。

 「赤字だと、従業員が『会社や社会にとってのお荷物なのではないか』と感じてしまうかもしれません。黒字化を目指すことで、コストパフォーマンス的にも事業に貢献できている状態を目指しています」

「ちゃんと稼ぐこと」を重視(公式Webサイトより)

 BC部へのニーズは引き続き高い。23年には業務の問い合わせが多くリソースが足りなくなったという。梶さんは「待ってください。リソースが足りないので採用から始めます、という逆転現象が起きたんです」と振り返る。

 その時は、新たな人材をBC部で採用したといい、「発注元の部署で増員するのではなく、BC部で増員できたことは大きな実績」だと話す。

 今後は発注元にどんなスキルが必要かをヒアリングするなど、業務のニーズにあった人材を積極的に採用できるよう取り組む方針だ。

Webサイトでは価格表を明記。一人あたり5件程度の案件を回す(公式Webサイトより)

 また、梶さんは「今後はより難易度の高い業務に取り組みたい」と意気込む。難易度の高い業務に応じて賃金をアップすることで、従業員の収入増にも取り組み姿勢だ。

 「障害者雇用において、賃金は大きな問題です。将来的には、障害者雇用で事業に貢献している日本一の企業はDMMといわれるようになりたいですね」

 障害者雇用の推進においては、福祉と企業の連携も欠かせない。梶さんは「今は福祉と企業の間に溝を感じます」と課題感を語る。

 「現状は障害者の多くが、就労継続支援A型を活用していると思います。しかし、企業の戦力になる方が、働き手にとっても日本社会にとっても良いのではないでしょうか。

 企業がどんな人材を求めているのか、障害者雇用においてどのくらいのレベル感で仕事をしているのか、福祉と企業側が連携し、情報共有をしていくことが今後必要になると考えています」

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