洋服サブスク「エアクロ」が、大きな物流拠点を構えた理由会員は100万人(3/5 ページ)

» 2024年03月30日 05時30分 公開
[小林香織ITmedia]

事業成長に「循環型物流」が不可欠だった

 そもそも、なぜエアークローゼット社は一から物流機能を開発したのか。創業当初、たくさんの倉庫会社に物流の受託を断られたためだという。

 「断られた理由は、『個品管理ができるシステムがない』『拡張性の要望に応えられない』『業務オペレーションが返却を前提としていない』の3つでした」

エアークローゼットは一般的な物流に比べ工程や変数が多く、複雑なオペレーション管理が発生する

 ようやく見つけたのが、宅配型トランクルーム・収納サービス「minikura(ミニクラ) 」を提供する寺田倉庫。ミニクラは、顧客が送付した荷物を開けて一点一点撮影し、保管アイテムの可視化ができるのが特徴だ。

 「お客さまからの送付物を開封して中身を撮影するというオペレーションはエアークローゼットと類似性があり、協業できるのではないかと相談し、契約にいたりました。当社のシステムと先方のシステムを連携させ、少しずつ現在の仕組みに近づけていきました」

 17年にはヤマト運輸とAPIによるシステム連携を実施。これにより、エアークローゼットのアプリ内で顧客に返送用のIDを付与して、QRコードによる効率的な返送が可能になった。

洗濯可能なRFIDタグは、紙のものに加えて単価が10倍以上となるが、事業が拡大するタイミングで導入が実現したそうだ

 19年には国内で先進的だった洗濯可能なRFIDを導入し、商品管理の効率が向上した。21年には他社への横展開も可能な倉庫管理システム「エアークローゼット・ブリッジ」の運用も開始した。

 このように段階を追って物流機能を強化することで、1配送当たりのオペレーションコストを18年時点から約3割下げることに成功。同社の事業成長を支えたのが、循環型の物流基盤だったのだ。

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