パン店の倒産過去最多 一方、出店が増えたのは?(1/2 ページ)

» 2024年04月06日 09時15分 公開
[産経新聞]
産経新聞

 「パンからおにぎりへ」と食のトレンドのシフトが顕著になっている。昨年度はパン店の倒産件数が過去最多になった一方、おにぎり専門店の昨年の新規出店数は前年比で約1.5倍に急増した。パンの原料である小麦は国内需要の約8割を輸入に頼っており、円安や原材料高がパン屋の経営を圧迫し続ける。対するおにぎりの原料は、ほぼ100%を国内自給できるコメだ。出店コストも安く済むなど利点は多く、訪日客からの人気も追い風に出店攻勢をかけている。

パンは物価高の影響受けやすく

 東京商工リサーチが5日発表した令和5年度のパン店の倒産件数は、前年度比85%増の37件となり、平成元年度以降の統計で過去最多となった。新型コロナウイルスの打撃を受けた企業に実質無利子・無担保で融資する「ゼロゼロ融資」の返済を迎えたことに加え、ロシアのウクライナ侵攻後に高止まりする小麦など、原材料価格の高騰の影響を強く受けた。

 東京商工リサーチの担当者は、「スーパーで販売しているパンより価格の高いパン店は、値上げすることによる消費者離れの懸念も強く、コスト上昇分の価格転嫁が難しい」と指摘。「焼く工程のあるパン製造は光熱費の負担も大きく、近年のエネルギーコストの上昇も重荷になった」と分析する。5年ほど前からブームとなった「高級食パン」も、専門店の乱立による過当競争が倒産に追い打ちをかけたとみられる。

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