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部全体のエンゲージメントを上げる、上司の行動とは

» 2024年04月10日 07時30分 公開
[小林可奈ITmedia]

 多くの企業が実施しているエンゲージメントサーベイ。人的資本開示の義務化にも後押しされ、その結果の活用にますます注目が集まっています。

 スコアをどう分析して自社の課題を抽出し、どのような施策を打つのか。各社が試行錯誤を重ねています。人材が定着する、風土の良い組織を作るヒントとは?

 パーソルイノベーション、リロクラブ、otonohaが共催したセミナー「人材確保×職場定着 強い組織をつくる人事戦略」より、リロクラブの望月遼氏(コンサルティングセールス第2ユニット ユニットマネージャー)の講演の様子をリアルにお届けします(以下、発言は望月氏)。

サク読み!セミナー記事

 ビジネスパーソンの情報収集の一つの手段として定着したオンラインセミナー。特定のトピックに知見がある人物の語りに触れられる機会であり、記事や書籍とはまた異なる魅力があります。

 業務の改善やスキル向上などに役立てたいところですが、思うように時間を割けないという人も多いのでは。日々忙しく過ごす読者のために、編集部注目のオンラインセミナーの模様を、ライブ感はそのままにお届けします。


リモート導入で起きた「コミュニケーション減少、エンゲージメント低下」

 本日は「エンゲージメントを数値化したり、施策を行ったりすることで、社員に職場に定着してもらう」という観点からお話します。

 まずエンゲージメントとは何か。当社では「会社と従業員が信頼関係で結ばれた状態」と定義付けしています。エンゲージメントスコアが低いほど、退職率が高いというデータがあります。ここまでは当たり前の話です。

 コロナ禍以降の今、どんな状況かというと、非対面が急激に増加し、特に社内でのコミュニケーションも薄くなってきています。

 アンケートを取ったところ45.9%の社員が、社内のコミュニケーションなどに課題を感じています。さらに95.7%の企業が、エンゲージメントの低下に課題を感じています。

 人事部・総務部や経営者の方々からは、もれなく「社員を定着させたい」「もうちょっと会社に関心を持ってもらって、エンゲージメントを向上させていきたい」という話をお聞きします

 それでは、各社はどんな施策をしているのか。一つの事例をお話しします。

ステップごとに進めていく

 エンゲージメント向上を、どう実現するのか。これを本気で考えたとき「簡単にできるものではない」と、想像がつくかと思います。

 ステップを分けて進めていきますが、中でも重要なステップを抜粋してお話しします。「現状整理」「課題を抽出して、施策を検討」「施策を実行した後に振り返って改善」です。

 まずは現在、自社の課題を羅列してみましょう。これに対し、解決策となりそうな施策もワーッと書き出します。ここからが施策方針を策定します。

 課題は、例えば「自社で働く意義を見いだせない」「テレワークが多くなって、コミュニケーションが減った」などがあります。なんでもいいので、まず書き出してみましょう。

「感謝を送り合うツール」導入でエンゲージメントが向上した事例

 次は施策の検討をした会社の事例です。エンゲージメントをどう向上させるのかを考えたとき「社員同士で努力や実績を褒めたりとか承認し合ったりして、会社の雰囲気を良くしていこう」と施策を実施しました。

photo (提供:ゲッティイメージズ)

 社員同士で「ありがとう」を贈り合えるようなツール、デジタルサンクスカードのツールを採用され、エンゲージメント向上に挑んだ事例です。施策実施後、エンゲージメントの数値が上がりました。

 施策が本当に有効だったのか、検証することは非常に重要です。もともと、エンゲージメントの平均数値は55点ほどでしたが、施策をしたら59点に上昇。2年後には60点台を目指すことになりました。

「管理職がよくほめている部署」は、全体のエンゲージメントが高い

 施策の振り返りの中で分かったこととしては「よく褒められている社員は、エンゲージメントが高い」ということです。これはなんとなくご理解いただけるかと思います。

 さらに重要な結果として「管理職がよくほめている部署は、部署全体のエンゲージメント数値が高い」ことがありました。

 さまざまな施策を入れて、検証していくのも良いのですが、まずは「管理職が、部署の雰囲気作りをしていく」という視点も重要なのではないでしょうか。言わずもがなですが、退職した社員のエンゲージメント数値というのは、他よりも低い結果です。

 エンゲージメントの向上、維持をすることで、社員には職場に定着し、長く働いてもらい、良い会社の風土を作っていきましょう。

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